前回の議論を「エレファント化」していきます。すなわち、定義から数式の変換で証明できるようにしていきます。
を有限次元ベクトル空間 の有限部分集合とするとき、 の元の個数を 、 で張られた部分空間を と書くことにします。 を と書き、 のとき のかわりに と書いても良いということにします。、 のとき と書くことにします。 のとき となります。
1次独立と1次従属
の有限部分集合 が1次独立であるということを以下のように帰納的に定義します。
- (1) 空集合は1次独立
- (2) は1次独立かつ ならば は1次独立
空集合から (2) を繰り返してできる集合を1次独立とし、そうではない集合を1次従属とします。
(3) は1次独立かつ ならば は1次独立
[証明] に関する帰納法で示します。 のときは1次独立の定義 (1) から成り立ちます。
として より小さいときは成り立っていると仮定します。1次独立の定義より を満たす1次独立な とベクトル が存在します。 のときは成り立ちます。 とすると 、、 となります。帰納法の仮定より は1次独立となり、(2) より は1次独立となります。[証明終わり]
(4) は1次独立かつ ならば は1次独立
[証明] (3) を繰り返せば成り立ちます。[証明終わり]
(5) かつ は1次従属ならば は1次従属
[証明] (4) より成り立ちます。[証明終わり]
(6) ならば は1次従属
[証明] かつ は1次独立と仮定します。 は空集合ではないので (2) より かつ は1次独立、 である の部分集合 と が存在します。 または となります。
のときは かつ となります。 となるので となって に反します。
のときは となる の部分集合 が存在します。、、 となり、 とすると と表すことができて より となります。よって となるので に反します。[証明終わり]
(7) は1次独立、 ならば
、、 を満たす が存在する
[証明] 、 とすると と表すことができます。 よりある となります。
、 とおきます。、 より かつ となって となります。 となります。[証明終わり]
(8) は1次独立、 ならば
、、、、 は1次独立となる が存在する
[証明]
に関する帰納法で示します。 のときは 、 が条件を満たします。 として のとき成り立つと仮定します。
、 は1次独立で とします。
とおくと は1次独立、 となるので帰納法の仮定より 、、、、 は1次独立となる が存在します。 の順序を入れ替えて としたとき 、 とします。
のときは 、 とおくと 、、、、 は1次独立となります。
とします。
、、 は1次独立であることから (7) より 、、 を満たす が存在します。
とすると
(6) より は1次従属となります。 は1次独立なので となって (2) より は1次独立となります。
なので となります。[証明終わり]
(9) は1次独立、 ならば
[証明] 、 とおき、 とします。 となる をとることができます。(4) より は1次独立となります。(8) より を満たす が存在します。 より となって となります。 となって は1次独立なので (6) より となります。 より ならば となります。よって となり となります。[証明終わり]
(10) は1次独立、 ならば
[証明] (9) より かつ となるので となります。[証明終わり]