エレファント・ビジュアライザー調査記録

ビジュアルプログラミングで数式の変形を表すことを考えていくブロクです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

一階述語論理(1)

「論理計算と随伴関手」と「半環上のフラクタル代数」の中でプログラミング言語 Prolog のプログラムを論理計算 LK に変換しようとしていましたが、間違っていました。Prolog のプログラムが証明に対応しているのは事実で、最終的に LK に変換できればどのよ…

半環上のフラクタル代数(8)

Prolog の動作を説明するため、集合 に対して と を考えました。 は Prolog のデータの「標準形」を作るためのもので、 は理論的な論理プログラミングのデータの「標準形」を作るためのものです。 は半環になっています。半環の場合は「選言標準形」に変形す…

半環上のフラクタル代数(7)

次に可換の場合を考えます。 モノイドから作られる半環(1) 、 を集合、 を の元とします。 を から への写像 で、 となる の個数が有限であるもの全体の集合とします。 を自然数全体の集合とします。 は で生成される自由可換モノイドとなります。 をモノイ…

半環上のフラクタル代数(6)

ブール代数(可補分配束)の非可換であるようなものを考えます。 自由モノイド 集合 で生成される自由モノイドを または とします。 は文字の集合 から作られる文字列全体の集合と見ることができます。空文字列が単位元となります。 の元を1つの文字からなる文…

半環上のフラクタル代数(5)

ここでは環上の多項式環に対応するものについて考えてみます。これは Prolog の実行順序の説明で必要となります。まず「群論の計算」の記事で説明した環上のモノイド代数についてもう一度説明します。 環上のモノイド代数 ここでは半環の場合も含めて考えま…

フラクタル代数言語 Fractal (2)

フラクタル代数言語 Fractal の構文 フラクタル代数言語 Fractal の構文は Prolog と同様(サブセット)とします。以下 Wikipedia の Prolog の項から必要な部分を引用します。 項 Prolog のデータを項と呼びます。項は定数、変数、複合項のいずれかとなります…

半環上のフラクタル代数(4)

環上の代数の射影極限 (Wikipediaによる) を有向半順序集合とします。環 上の代数の族 と準同型の族 が は における恒等写像、 であるとき、対 を環 上の代数と準同型の 上の射影系と呼びます。射影系 の射影極限を と定義します。射影極限 は直積の演算で環…

半環上のフラクタル代数(3)

環上の加群 を自明ではない単位元を持つ可換環とします。アーベル群 とスカラー乗法 が以下の条件を満たすとき を 上の加群と呼びます( を と書きます)。 が体のとき 上のベクトル空間と呼びます。 が 上の加群であるとき、 の元 に対して を と定義すること…

半環上のフラクタル代数(2)

背景 論理プログラミングの考え方ではプログラムを論理式と考えることができます。論理プログラミングで無限の時間実行するプログラムについて考えてみます。論理式の作るブール代数を半環と見ることで、環の極限と同様に極限を定義することができます。実際…

群論の計算(42)

2次方程式の冪根による解法 2次方程式の冪根による解法をまず考えてみます。「ラグランジュの分解式」を使いますが、2次方程式の場合はあまり必要がないので、意味がよくわからないかもしれません。以後3次方程式、4次方程式の計算を簡単にする方法を考えて…

群論の計算(41)

3次方程式の冪根による解法で使えるかもしれないので3次の場合を書いておきます。内容は前の項と同じです。 対称式の基本定理(3次の場合) を体とします。 を 上の多項式環の商体(有理関数体) とおきます。 の対称群 の元 を 上の代数の同型 に拡張した写像全…

群論の計算(40)

ここでは計算を簡単にするために対称式の基本定理をもう一度見てみます。 対称式の基本定理 を体とします。 を 上の多項式環の商体(有理関数体) とおきます。 の対称群 の元 を 上の代数の同型 に拡張した写像全体の集合を とします。 上の多項式 の係数 を …

群論の計算(39)

正規拡大・原始元の存在定理 ここでいったん正規拡大などの議論を考え直してみます。『現代代数学』*1、『代数学』*2 を参考にしています。復刊版があるようです。 (現代代数学) 定理 30.6 を半群 から体 の乗法群への相異なる準同型とします。このとき ()で…

群論の計算(38)

根が冪根で表すことができるならばガロア群は可解群 この項は『今度こそわかるガロア理論』*1 も参照しています。 定理 6.2 を含む体 のガロア拡大体 のガロア群を とします。 が可解群である は累巡回拡大である 定理 6.4 を の原始 乗根とします。 は を含…

群論の計算(37)

ガロア群が可解群ならば根は冪根で表すことができる 定理 5.27 を含む体 上のある多項式の最小分解体 は、ある を用いて と表せます。 定理 5.28 を を含む体とします。 上のある多項式の最小分解体を 、ガロア群を とするとき が成り立ちます。 定理 6.6 を…

群論の計算(36)

全体が見えるまでさらに定理を書き直していきます。 可解群の定義 上の多項式 の根の1つ を加えた拡大体 を冪根拡大体と呼びます。冪根拡大を繰り返してできる拡大体を累冪根拡大体と呼びます。 すなわち体の列 が存在して、 が の冪根拡大である()とき を …

群論の計算(35)

体と自己同型写像(9) さらにまた少し定理を書き直していきます。 定理 5.32 を体とします。 を の有限拡大体とします。 を と の任意の中間体とすると が成り立ちます。[証明] は 上のベクトル空間となります。その次元を とし、 を基底とします。 となりま…

群論の計算(34)

体と自己同型写像(8) また少し定理を書き直していきます。 定理 5.9 を体とします。 を 上の 次既約多項式、 を の異なる根であるとすると を満たし 上では恒等写像であるような から への同型写像 が存在します。[証明] とおき、 を 上の代数の準同型で 、 …

フラクタル代数言語 Fractal (1)

目標 プログラミング言語Prolog拡張した「フラクタル代数言語 Fractal」を定義することをこのブログの目標の1つとしています。 背景 現在、サーバー上で無限の時間にわたって動作するプログラムと連携して、入出力を行うクライアントがあるというシステムが…

群論の計算(33)

体と自己同型写像(7) またしばらくは本に沿って進めていきますが、その前に少し定義を書き直しておきます。 定義 ガロア群 は を含む体とします。 の最小分解体 の 上の自己同型群を のガロア群と呼び と表します。 定義 ガロア拡大 体 を体 の有限拡大(拡大…

中間報告(2)

証明図を切り詰めることの極限として無限に続く入出力を表すこと(形式的冪級数のように)を考えています。これは以下のような問題に対応するためです。サーバー上で(理論的には)無限の時間にわたって動作しているプログラムと、それと連携したブラウザーで実…

群論の計算(32)

体と自己同型写像(6) 次の定理も流れはだいたい同じように見えます。いったん本の通りにやってみます。 定理 5.31 を 上の方程式 の最小分解体とし、 を と の任意の中間体とします。このとき、 となる が存在します。 を解に持つ 上の最小多項式を とすると…

群論の計算(31)

体と自己同型写像(5) 前回の定理を体上の代数を使って書き直しました。体上の代数を使ったものは補題としています。内容が重複しているようで少し長くなっています。これは今後改善していきたいと思います。 補題 1 を体 上の代数、 を の 上の自己同型の全…

群論の計算(30)

体と自己同型写像(4) 今のところ体上の代数の同型を使ってうまく計算が書けるポイントはまだ見つかっていないので、本の説明をたどっているだけになっています。ガロア理論は体上の代数の同型の作る群についての理論であるし代数方程式は体上の代数の話なの…

群論の計算(29)

体と自己同型写像(3) 定理 5.25 を 上の方程式の解とします。このとき を満たす が存在します。このような を原始元と言います。[証明] の 上の最小多項式 の根を の 上の最小多項式 の根を とおきます。 をとります。 とおきます。 であり、 に対して より …

群論の計算(28)

体と自己同型写像(2) 、 は体で とします。 が で と因数分解されるとします。このとき を の 上の最小分解体と言います。 の最小分解体の 上の自己同型群のことを の 上のガロア群と呼びます。最小分解体を すると と表します。 定理 5.23 、 は体で としま…

群論の計算(27)

体と自己同型写像(1) ここからは『ガロア理論の頂を踏む』に従って証明を見ていき、体上の代数の同型を使って証明が書けるところは書いていきたいと思います。前に書いた証明と同じ内容になってしまう場合もあります。 定理 5.1 が体 から体 への同型写像で…

群論の計算(26)

円分多項式 の 乗根 の解を の 乗根と呼びます。 とおくと の 乗根は 個存在し、それらは となります。 が成り立ちます。( は異なる複素数ですべて 乗すると になることからこのことがわかります。) の 乗根の中で 乗して初めて になる( である では 乗して…

群論の計算(25)

対称式の基本定理 個の変数 に関する 次の基本対称式 を以下のように帰納的に定義します。 () (、) となります。 変数の対称式全体の集合を 、 変数の基本対称式からなる多項式全体の集合を とおきます。 を整域とします。 とし( は異なる元)、 を の置換全…

群論の計算(24)

複素数(4) 実数体 上の多項式 が 上既約ではないとすると、 、、、、 を満たす が 存在します。 より となります。 と表すことができます。 となります。 となりますが、 なのでこのような は存在しません。よって は 上既約となります。 とおくと は体とな…