[定理]
対称式は基本対称式の多項式となります。これを3変数()の場合について証明します。この場合基本対称式は となります。
[証明]
を対称式とします。 は という形の式の和の形で書くことができます。 この という形の式を単項式といいます。 の中に(和の成分として)含まれている単項式を項ということにします。
の中にとという項があるとすると、これらの項をまとめてとすることができます。 よってに含まれる項は、、のどれかが異なるようにすることができます。 多項式をこの形に書き直したときのに含まれる項全体の集合をとします。
を集合の置換(集合からそれ自身への全単射)とすると、 単項式に単項式を対応させる写像を定義することができます。 この(単項式全体の集合からそれ自身への)写像もと書くことにします。このような写像を の置換ということにします。
の元をとります。 を の置換とすると、 は対称式なので もの元となります。 に対して、 のすべての置換によってできる(の中の異なるもの)全体の集合をとすると、 はに含まれます。
単項式全体の集合に以下のように順序を定義します。 単項式とは、、またはかつ、またはかつかつであるときにであるとします。 この順序は全順序となります。 、またはかつ、またはかつかつであるときにと書くことにします。
は空ではないとし、順序に関して最大となるの元をとります。
の中での次数が最大の元は
の元となります。この中での次数が最大の元は
となります。 よってはを含み、
の中で順序に関して最大となる元をとするととなります。
よって
とおくと順序に関するの最大元はとなります。 ここで、もしが基本対称式の多項式であるとすると、も基本対称式の多項式となります。 よって、が基本対称式の多項式であることを証明すればよいということになります。
からを作ったのと同じ方法で、から、から、と順に作っていくと、どこかのでとなるか、または順序に関して最大となる元のの次数はとなります。すなわちは定数となるので、基本対称式の多項式となります。 したがって元のも基本対称式の多項式となるということがわかります。
[証明終わり]