[定理]
対称式は基本対称式の多項式となります。これを1変数()の場合、2変数()の場合、3変数()の場合について順に証明します。 1変数()の場合は、自身が基本対称式と考えられるので、成り立っています。
2変数()の場合
この場合基本対称式は となります。
多項式はという形の式の和となっています。 多項式がではないとき、このの最大値を多項式の次数といいます。 の次数は定義しないものとします。
[証明]
を対称式とします。 の次数に関する帰納法で証明します。
であるか、の次数が(すなわちが定数)のときは、成り立っています。
の次数が以上とします。 とおきます。 多項式はではありません。 とおくと、は対称式で、となります。 因数定理よりはで割り切れます。 は対称式であることからはで割り切れます。 よって、を満たす対称式が存在します。 の次数は、の次数と等しく、 の次数は、の次数より小さいか、等しいので、 またはの次数は、の次数より小さいか、等しくなります。 よってまたはの次数はの次数より小さくなります。 帰納法の仮定によりは基本対称式の多項式となります。 よっては基本対称式の多項式となります。
[証明終わり]
3変数()の場合
この場合基本対称式は となります。
多項式はという形の式の和となっています。 多項式がではないとき、このの最大値を多項式の次数といいます。 の次数は定義しないものとします。
[証明]
を対称式とします。 の次数に関する帰納法で証明します。
であるか、の次数が(すなわちが定数)のときは、成り立っています。
の次数が以上とします。 はとに関する対称式となります。 よって2変数の場合よりを満たす多項式が存在します。 多項式はではありません。 とおくと、は対称式で、となります。 因数定理よりはで割り切れます。 は対称式であることからはで割り切れます。 よって、を満たす対称式が存在します。 の次数は、の次数と等しく、 の次数は、の次数より小さいか、等しいので、 またはの次数は、の次数より小さいか、等しくなります。 よってまたはの次数はの次数より小さくなります。 帰納法の仮定によりは基本対称式の多項式となります。 よっては基本対称式の多項式となります。
[証明終わり]