エレファント・ビジュアライザー調査記録

ビジュアルプログラミングで数式の変形を表すことを考えていくブロクです。

対称式の基本定理

[定理]

対称式は基本対称式の多項式となります。これを1変数( x)の場合、2変数( x,y)の場合、3変数( x,y,z)の場合について順に証明します。 1変数( x)の場合は、 x自身が基本対称式と考えられるので、成り立っています。

2変数( x,y)の場合

この場合基本対称式は  x+y, xy となります。
多項式 kx^{a}y^{b}という形の式の和となっています。 多項式 0ではないとき、この a+bの最大値を多項式の次数といいます。  0の次数は定義しないものとします。

[証明]

 f(x,y) を対称式とします。  f(x,y)の次数に関する帰納法で証明します。


 f(x,y)=0であるか、 f(x,y)の次数が 0(すなわち f(x,y)が定数)のときは、成り立っています。


 f(x,y)の次数が 1以上とします。  g(x)=f(x,0)とおきます。 多項式 g 0ではありません。  h(x,y)=f(x,y)-g(x+y)とおくと、 h(x,y)は対称式で、 h(x,0)=0となります。 因数定理より h(x,y) yで割り切れます。  h(x,y)は対称式であることから h(x,y) xyで割り切れます。 よって、 h(x,y)=xyp(x,y)を満たす対称式 p(x,y)が存在します。  g(x+y)の次数は、 g(x)の次数と等しく、  g(x)=f(x,0)の次数は、 f(x,y)の次数より小さいか、等しいので、  h(x,y)=0または h(x,y)の次数は、 f(x,y)の次数より小さいか、等しくなります。 よって p(x,y)=0または p(x,y)の次数は f(x,y)の次数より小さくなります。 帰納法の仮定により p(x,y)は基本対称式の多項式となります。 よって f(x,y)=g(x+y)+xyp(x,y)は基本対称式の多項式となります。

[証明終わり]

3変数( x,y,z)の場合

この場合基本対称式は  x+y+z, xy+yz+zx, xyz となります。
多項式 kx^{a}y^{b}z^{c}という形の式の和となっています。 多項式 0ではないとき、この a+b+cの最大値を多項式の次数といいます。  0の次数は定義しないものとします。

[証明]

 f(x,y,z) を対称式とします。  f(x,y,z)の次数に関する帰納法で証明します。


 f(x,y,z)=0であるか、 f(x,y,z)の次数が 0(すなわち f(x,y,z)が定数)のときは、成り立っています。


 f(x,y,z)の次数が 1以上とします。  f(x,y,0) x yに関する対称式となります。 よって2変数の場合より f(x,y,0)=g(x+y,xy)を満たす多項式 gが存在します。 多項式 g 0ではありません。  h(x,y,z)=f(x,y,z)-g(x+y+z,xy+yz+zx)とおくと、 h(x,y,z)は対称式で、 h(x,y,0)=0となります。 因数定理より h(x,y,z) zで割り切れます。  h(x,y,z)は対称式であることから h(x,y,z) xyzで割り切れます。 よって、 h(x,y,z)=xyzp(x,y,z)を満たす対称式 p(x,y,z)が存在します。  g(x+y+z,xy+yz+zx)の次数は、 g(x+y,xy)の次数と等しく、  g(x+y,xy)=f(x,y,0)の次数は、 f(x,y,z)の次数より小さいか、等しいので、  h(x,y,z)=0または h(x,y,z)の次数は、 f(x,y,z)の次数より小さいか、等しくなります。 よって p(x,y,z)=0または p(x,y,z)の次数は f(x,y,z)の次数より小さくなります。 帰納法の仮定により p(x,y,z)は基本対称式の多項式となります。 よって f(x,y,z)=g(x+y+z,xy+yz+zx)+xyzp(x,y,z)は基本対称式の多項式となります。

[証明終わり]