対称式の基本定理・証明2・3変数の場合
今回は別のやり方で証明してみます。まずは3変数までの場合です。基本対称式の定義をもう一度書いておきます。
基本対称式
変数の多項式
は対称式となります()。これらの対称式を基本対称式といいます。
のときは
と
が基本対称式となります。
のときは
と
と
が基本対称式となります。
対称式の基本定理
[定理]
対称式は基本対称式の多項式となります。これを1変数()の場合、2変数(
)の場合、3変数(
)の場合について順に証明します。 1変数(
)の場合は、
自身が基本対称式と考えられるので、成り立っています。
2変数(
)の場合
この場合基本対称式は となります。
多項式はという形の式の和となっています。 多項式が
ではないとき、この
の最大値を多項式の次数といいます。
の次数は定義しないものとします。
[証明]
を対称式とします。
の次数に関する帰納法で証明します。
であるか、
の次数が
(すなわち
が定数)のときは、成り立っています。
の次数が
以上とします。
とおきます。 多項式
は
ではありません。
とおくと、
は対称式で、
となります。 因数定理より
は
で割り切れます。
は対称式であることから
は
で割り切れます。 よって、
を満たす対称式
が存在します。
の次数は、
の次数と等しく、
の次数は、
の次数より小さいか、等しいので、
または
の次数は、
の次数より小さいか、等しくなります。 よって
または
の次数は
の次数より小さくなります。 帰納法の仮定により
は基本対称式の多項式となります。 よって
は基本対称式の多項式となります。
[証明終わり]
3変数(
)の場合
この場合基本対称式は となります。
多項式はという形の式の和となっています。 多項式が
ではないとき、この
の最大値を多項式の次数といいます。
の次数は定義しないものとします。
[証明]
を対称式とします。
の次数に関する帰納法で証明します。
であるか、
の次数が
(すなわち
が定数)のときは、成り立っています。
の次数が
以上とします。
は
と
に関する対称式となります。 よって2変数の場合より
を満たす多項式
が存在します。 多項式
は
ではありません。
とおくと、
は対称式で、
となります。 因数定理より
は
で割り切れます。
は対称式であることから
は
で割り切れます。 よって、
を満たす対称式
が存在します。
の次数は、
の次数と等しく、
の次数は、
の次数より小さいか、等しいので、
または
の次数は、
の次数より小さいか、等しくなります。 よって
または
の次数は
の次数より小さくなります。 帰納法の仮定により
は基本対称式の多項式となります。 よって
は基本対称式の多項式となります。
[証明終わり]