円分多項式
の 乗根
の解を の 乗根と呼びます。
とおくと の 乗根は 個存在し、それらは となります。
が成り立ちます。( は異なる複素数ですべて 乗すると になることからこのことがわかります。)
の 乗根の中で 乗して初めて になる( である では 乗しても にならない)ものを の原始 乗根と呼びます。
を と互いに素な自然数とすると は の原始 乗根となります。逆に を の原始 乗根とすると は と互いに素となります。 と互いに素となる である自然数 の個数を と表します。 をオイラーの 関数と呼びます。 の原始 乗根の個数は となります。
円分多項式
と の最大公約数を と表します。 と が互いに素であることを と表します。
円分多項式 を と互いに素なすべての ()に対する の積
と定義します。
[証明] が素数なので円分多項式 はすべての ()に対する の積
となります。
であることから
となります。[証明終わり]
のとき
[証明]
に を代入すると主張が成り立ちます。[証明終わり]
以下の定理の証明で
- 二項係数
- 階乗
を使います。二項係数 は の の係数となります。
となります。
を素数、 とすると の分子は で割り切れて、分母は で割り切れないので、 は の倍数となります。
[証明] より
となります。 は のとき の倍数となり なのでアイゼンシュタインの既約判定法の条件を満たします。よって は既約多項式となります。
とすると となって または のどちらかの次数は となります。よって または のどちらかの次数は となるので は既約多項式となります。[証明終わり]
整数係数の多項式 の係数がすべて素数 で割り切れるとします。整数係数の範囲で と因数分解されているとき 、 のいずれか一方はすべての係数が で割り切れます。
[証明] 、、 とします。
のとき となって となります。 は素数なので または となります。よって または となります。
のとき成り立っていると仮定します。 より となり または となります。 のとき とおくと となって帰納法の仮定より または となります。 のときは となります。 のときも同様となります。[証明終わり]
整数係数の多項式 が有理数係数で因数分解できれば、整数係数でも因数分解できます。
[証明] 、 とします。 の係数の分母の最小公倍数を 、 の係数の分母の最小公倍数を とおきます。、 とおきます。 となります。 となる素数 が存在します。 は を割るか を割るかどちらかとなります。両辺を で割ると という が1つ減った形にすることができます。これを がなくなるまで繰り返すと ()という形になります。このとき 、 となる が存在します。[証明終わり]
が素数のとき は体となります。 ( の剰余類を除いた集合)は積に関して位数 の群となります。
を整数、 を素数とするとき となります。
[証明] は積に関して位数 の群となるので、この群での の剰余類の位数は の約数となります。よって となって となります( のとき)。 のときも となります。[証明終わり]
を整数、 を素数とするとき
となります。
[証明] 上の結果より
となります。[証明終わり]
、 を環、 を環の準同型とします。このとき任意の に対して環の準同型 で
- 任意の に対して
を満たすものが一意的に存在します。 に対して を と表します。 を代入射と呼びます。
を環とします。 で生成される のイデアルを と表します。 と で生成される のイデアルを と表します。 と に対して であるとき と表します。
が単項イデアル整域であるとき は単項イデアル整域となります。
を単項イデアル整域、 を の既約元とすると は の極大イデアルとなります。
を単項イデアル整域、 を の既約元、 とすると または となります。
を の原始 乗根とします。 を 上の既約多項式で、 であるものとします。このとき と互いに素な素数 に対して となります。
[証明] とおくと となります。 は単項イデアル整域、 は の既約多項式であるから または となります。 とすると となるので となる が存在します。 となってこれは矛盾となります。よって となります。
となる が存在します。このとき となる が存在します。 を と書くことにより と考えることができます。
となるので または となります。
とおくと
となります。
と仮定すると となります。 は単項イデアル整域、 は の既約多項式であるから または となります。 とすると となるので となる が存在します。 となってこれは矛盾となります。よって となります。
は既約多項式なので は 素イデアルとなり となります。 となって は重根を持つことになりますが は重根を持たないので矛盾が生じます。
よって となります。[証明終わり]
円分多項式 は 上既約となります。
[証明] 円分多項式 は
と定義されています。
の既約な因子の1つは の原始 乗根が根となります。そのようなものを とおきます。 は既約多項式で であるものとなります。
、 とします。 となる素数 が存在します。 は と互いに素となります。
前の定理より となります。 より も の原始 乗根となります。よって と繰り返すことにより となります。