体と自己同型写像(8)
また少し定理を書き直していきます。
定理 5.9
を体とします。 を 上の 次既約多項式、 を の異なる根であるとすると を満たし 上では恒等写像であるような から への同型写像 が存在します。
[証明] とおき、 を 上の代数の準同型で 、 を満たすものとします。
は既約多項式なので の最小多項式かつ の最小多項式となるので となって 上の代数として となります。
この写像 を以下のように定義できます。 を と定義すると は 上の代数の同型となります。 を と定義すると は 上の代数の同型となります。よって から への 上では恒等写像であるような同型写像 が存在します。
が成り立ちます。 [証明終わり]
定理 5.21
を体とします。 を 上の 次既約多項式、、 を の 異なる根とします。 上の 次既約多項式 と、この多項式の係数に現れる を に置き換えた 上の 次既約多項式 があるとします。 を の根、 を の根とするとき
、
を満たし 上では恒等写像であるような から への同型写像 が存在します。
[証明] 定理 5.9 より であり、 を満たす から への 上では恒等写像であるような同型写像 が存在します。
上では恒等写像で を満たす 上の代数の準同型(代入射) が存在します。 であり、、 は 上の代数の同型となります。
同様に、 上では恒等写像で を満たす 上の代数の準同型(代入射) が存在します。 であり、、 は 上の代数の同型となります。
上では と一致して を満たす 上の代数の準同型(代入射) が存在します。 は全単射であり、 となります。
を とすると は 上の代数の準同型となります。
の核は となるので 、 は 上の代数の同型となります。
とおくと は 上の代数の同型であり、
が成り立ちます。[証明終わり]
定理 5.22
を の拡大体、 を の拡大体で代数的閉体とします。 を 上の 次既約多項式、 の根を とします。 上の 次既約多項式 と、 の係数に現れる を に置き換えた 上の 次既約多項式 があるとします。 の根を とします。
から への 上の代数としての同型写像はちょうど 個あり、それらは
(、)、、
となります。
[証明] 定理 5.21 より (、) は から への 上の代数としての同型写像となります。定理 3.6 (5) より はすべて異なる根であり、任意の に対して はすべて異なる根であるから、 はすべて異なる写像となります。よって から への 上の代数としての同型写像の個数を とすると となります。
を 上の代数の同型写像とすると となって は のどれかとなります。任意の に対して となって は のどれかとなります。 と を決めれば が決まるので となります。
よって となって はすべての から への 上の代数としての同型写像となります。[証明終わり]