全体が見えるまでさらに定理を書き直していきます。
可解群の定義
上の多項式 の根の1つ を加えた拡大体 を冪根拡大体と呼びます。
冪根拡大を繰り返してできる拡大体を累冪根拡大体と呼びます。
すなわち体の列
が存在して、 が の冪根拡大である()とき を の累冪根拡大体と呼びます。
が のガロア拡大体で が巡回群のとき を の巡回拡大体と呼びます。
巡回拡大を繰り返してできる拡大体を累巡回拡大体と呼びます。
すなわち体の列
が存在して、 が の巡回拡大である()とき を の累巡回拡大体と呼びます。
が のガロア拡大体で がアーベル群のとき を のアーベル拡大体と呼びます。
(これを繰り返したものも定義できますがここでは使わないので定義しません)
群の列
が存在して、 が の正規部分群で が巡回群である()とき を可解群と呼びます。
以下のように巡回群をアーベル群に置き換えても同値となります。
すなわち、群の列
が存在して、 が の正規部分群で がアーベル群である()とき を可解群と呼びます。
定理 6.2
を含む体 のガロア拡大体 のガロア群を とします。
が可解群である は累巡回拡大である
[証明] () が可解群であるとすると部分群の列
で が の正規部分群で が巡回群であるものが存在します()。これにガロア対応する中間体の列を
とします。
がガロア拡大なので定理 5.31 より 、 もガロア拡大になり 、 となります。
は の正規部分群なので定理 5.36 より もガロア拡大であり となります。
は巡回群なので は巡回拡大となり、 は累巡回拡大となります。
() が の累巡回拡大体であるとすると、中間体の列
が存在して、 が の巡回拡大となります()。これにガロア対応する の部分群の列を
とします。
がガロア拡大なので定理 5.31 より 、 もガロア拡大になり 、 となります。
はガロア拡大なので定理 5.36 より は の正規部分群であり となります。
は巡回拡大なので は巡回群となり、 は可解群となります。[証明終わり]