エレファント・コンピューティング調査報告

極限に関する順序を論理プログラミングの手法を使って指定することを目指すブロクです。

群論の計算(36)

全体が見えるまでさらに定理を書き直していきます。

可解群の定義

 K 上の多項式  X^n - a の根の1つ  \alpha を加えた拡大体  K(\alpha) を冪根拡大体と呼びます。

冪根拡大を繰り返してできる拡大体を累冪根拡大体と呼びます。
すなわち体の列
 K = M_0 \subseteq M_1 \subseteq M_2 \subseteq \cdots \subseteq M_{n-1} \subseteq M_n = L
が存在して、 M_{i+1} M_{i} の冪根拡大である( i = 0, 1, \cdots , n-1)とき  L K の累冪根拡大体と呼びます。

 L Kガロア拡大体で  \operatorname{Gal}(L/K)巡回群のとき  L K の巡回拡大体と呼びます。

巡回拡大を繰り返してできる拡大体を累巡回拡大体と呼びます。
すなわち体の列
 K = M_0 \subseteq M_1 \subseteq M_2 \subseteq \cdots \subseteq M_{n-1} \subseteq M_n = L
が存在して、 M_{i+1} M_{i} の巡回拡大である( i = 0, 1, \cdots , n-1)とき  L K の累巡回拡大体と呼びます。

 L Kガロア拡大体で  \operatorname{Gal}(L/K) がアーベル群のとき  L K のアーベル拡大体と呼びます。

(これを繰り返したものも定義できますがここでは使わないので定義しません)

群の列
 G = H_0 \supseteq H_1 \supseteq H_2 \supseteq \cdots \supseteq H_{n-1} \supseteq H_n = \{e\}
が存在して、 H_{i+1} H_{i}正規部分群 H_{i}/H_{i+1}巡回群である( i = 0, 1, \cdots , n-1)とき  G を可解群と呼びます。

以下のように巡回群をアーベル群に置き換えても同値となります。
すなわち、群の列
 G = H_0 \supseteq H_1 \supseteq H_2 \supseteq \cdots \supseteq H_{n-1} \supseteq H_n = \{e\}
が存在して、 H_{i+1} H_{i}正規部分群 H_{i}/H_{i+1} がアーベル群である( i = 0, 1, \cdots , n-1)とき  G を可解群と呼びます。

定理 6.2

 \mathbb{Q} を含む体  Kガロア拡大 Lガロア群を  G とします。
 G が可解群である  \iff  L/K は累巡回拡大である

[証明] ( \Longrightarrow)  G が可解群であるとすると部分群の列
 G = H_0 \supseteq H_1 \supseteq H_2 \supseteq \cdots \supseteq H_{n-1} \supseteq H_n = \{e\}
 H_{i+1} H_{i}正規部分群 H_{i}/H_{i+1}巡回群であるものが存在します( i = 0, 1, \cdots , n-1)。これにガロア対応する中間体の列を
 K = M_0 \subseteq M_1 \subseteq M_2 \subseteq \cdots \subseteq M_{n-1} \subseteq M_n = L
とします。

 L/Kガロア拡大なので定理 5.31 より  L/M_{i+1} L/M_{i}ガロア拡大になり  \operatorname{Gal}(L/M_{i+1}) = H_{i+1} \operatorname{Gal}(L/M_{i}) = H_{i} となります。

 H_{i+1} H_{i}正規部分群なので定理 5.36 より  M_{i+1} / M_{i}ガロア拡大であり  \operatorname{Gal}(M_{i+1}/M_{i}) \cong H_{i}/H_{i+1} となります。

 H_{i} / H_{i+1}巡回群なので  M_{i+1} / M_{i} は巡回拡大となり、 L/K は累巡回拡大となります。

( \Longleftarrow)  L K の累巡回拡大体であるとすると、中間体の列
 K = M_0 \subseteq M_1 \subseteq M_2 \subseteq \cdots \subseteq M_{n-1} \subseteq M_n = L
が存在して、 M_{i+1} M_{i} の巡回拡大となります( i = 0, 1, \cdots , n-1)。これにガロア対応する  G の部分群の列を
 G = H_0 \supseteq H_1 \supseteq H_2 \supseteq \cdots \supseteq H_{n-1} \supseteq H_n = \{e\}
とします。

 L/Kガロア拡大なので定理 5.31 より  L/M_{i+1} L/M_{i}ガロア拡大になり  \operatorname{Gal}(L/M_{i+1}) = H_{i+1} \operatorname{Gal}(L/M_{i}) = H_{i} となります。

 M_{i+1} / M_{i}ガロア拡大なので定理 5.36 より  H_{i+1} H_{i}正規部分群であり  \operatorname{Gal}(M_{i+1}/M_{i}) \cong H_{i}/H_{i+1} となります。

 M_{i+1} / M_{i} は巡回拡大なので  H_{i} / H_{i+1}巡回群となり、 G は可解群となります。[証明終わり]

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