ガロア群が可解群ならば根は冪根で表すことができる
定理 5.27
を含む体
上のある多項式の最小分解体
は、ある
を用いて
と表せます。
定理 6.6
を
を含む体とします。
を
のガロア拡大として、
を
で生成される位数
の巡回群とします。このとき
のすべての
について
となるような の元
は存在しません。
[証明] ガロア拡大の定義と定理 5.28の証明より、 は
上のある多項式の最小分解体となり、定理 5.27より
を満たす
が存在します。
はすべて異なる元となります。
を任意の
に対して
を満たすものとすると、この式の左辺を とおくと
より
が成り立ち、 より
が成り立ちます。 より
が成り立ちます。
これを で割ったものは
と表すことができます。これを繰り返すと となります。任意の
に対して
となって矛盾となります。[証明終わり]
定理 6.7
を
を含む体とします。
を
の原始
乗根とします。
は
上の
次多項式
の根
を用いて、
と表されているものとします。
は
のガロア拡大で、
が
で生成される位数
の巡回群であるものとします。
とおくとき のうち、少なくとも1つは
ではありません。
[証明] 任意の に対して
を満たす が存在します。
となるので
が成り立ちます。
であるので
がすべて
だとすると、任意の
に対して
となって定理 6.6 に矛盾します。[証明終わり]
定理 6.5
を
と
の原始
乗根
を含む体、
はガロア拡大とします。
が
で生成される位数
の巡回群であるとき、
の元
が存在して
は
の最小分解体となります。
[証明] 定理 6.7 より
を満たす が存在します。
とおきます。
は
の元
を不変にするので
となります。
となるので が成り立ちます。よって
となり
となります。
とおきます。
の
上の最小分解体は
であり は
上では
の自己同型写像となります。
となります。定理 5.28 より となるので
となります。[証明終わり]
定理 6.8
を含む体
上の方程式
の根が冪根で表される
のガロア群が可解群である
[証明] の最小分解体を
、ガロア群を
とし
が可解群であるとします。部分群の列
で が
の正規部分群で
が巡回群であるものが存在します(
)。これにガロア対応する中間体の列を
とします。ここで は巡回拡大となります。
とおき、
の最小公倍数を
として、
の原始
乗根
を拡大列に加えます。
という拡大列になります。
すると の拡大では
に
の原始
乗根が含まれているので定理 6.5 より
は冪根拡大になります。よって
は累冪根拡大になり、
の根は冪根で表されます。
は
に
の1つの根
を加えて
と表されています。
となります。解の公式があるということはわかったのでこれで終わりとします。[証明終わり]