2次方程式の冪根による解法
2次方程式の冪根による解法をまず考えてみます。「ラグランジュの分解式」を使いますが、2次方程式の場合はあまり必要がないので、意味がよくわからないかもしれません。以後3次方程式、4次方程式の計算を簡単にする方法を考えてみる予定なのでその準備で2次方程式の場合もやってみます。
「ラグランジュの分解式」による解法は『ガロア理論「超」入門 ~方程式と図形の関係から考える~』*1、『方程式のガロア群 深遠な解の仕組みを理解する』*2などで扱われていて、2次方程式の場合も扱われています。
複素数 が与えられたとき多項式の等式
を満たす
を
の加減乗除と冪根で表すという問題を考えます。
を有理数全体からなる体とします。
を
を含む体とします。
を不定元とする
上の有理関数体を
とします。
を
の対称群とおくと
の元は体
上の代数
の同型に拡張することができます。
、
を入れ替える
の元を
とおくと
、
となります。
ラグランジュの分解式
をとります。
とおくと (
)、
となるので となります。したがって
となります。
、
とおくと
となります。
対称式の基本定理より、 となります。したがって
となります。(対称式の基本定理の証明とまとめることができると思いますが2次の場合は省略します。)
とおきます。
冪根による拡大
が
上規約多項式であるならば
は
の1つの根
を含む体となります。
上で
と分解されます。これをすべての
に対して繰り返すと
を含みすべての根
を含む体
を作ることができます。
2次の場合は だけとなります。
と書きます。
とおきます。このような
を付け加える体の拡大を冪根による拡大と呼びます。
より
となります。
とおきます。
は
のどれかとなります。
よって
となります()。
これを 、
について解いて
となります()。
よって は
と有理数から加減乗除と冪根による拡大(の繰り返し)で表すことができました。これを冪根で表すことができると言います。