エレファント・コンピューティング調査報告

極限に関する順序を論理プログラミングの手法を使って指定することを目指すブロクです。

現代数学のエレファント(3)

さらに準備をしていきます。

テンソル

 V を体  K 上の  n 次元ベクトル空間、 \{e_1, e_2, \cdots , e_n\} を基底とします。
 E_k = \{e_{ { i_{1} } } \otimes e_{ {i_{2} }} \otimes \cdots \otimes e_{ { i_{k} } } \mid 1 \leq i_{1}, i_{2}, \cdots , i_{k} \leq n\}
を基底とする K 上のベクトル空間(に以下のような演算を定義したもの)を  k-次テンソル冪と呼び  T^k(V) = V^{\otimes k} = V\otimes V \otimes \cdots \otimes V ( k 個)と書きます(この定義はWikipediaによる)。 T^k(V) の次元は  n^k となります。

これらのベクトル空間の直和(すべての  E_k を基底とする無限次元ベクトル空間)
 \displaystyle T(V)= \bigoplus_{k=0}^\infty T^k(V) = K\oplus V \oplus (V\otimes V) \oplus (V\otimes V\otimes V) \oplus \cdots
(に以下のような演算を定義したもの)を外積代数と呼びます(この定義はWikipediaによる)。ここで  T^0(V) = K T^1(V) = V とします。

 T(V) に演算  \otimes : T(V) \times T(V) \to T(V) を定義します。

まず  V \times V に制限した演算を考えます。
 \otimes_1 : V \times V \to V \otimes V
 \displaystyle \left(\sum_{i=1}^{n} a_i e_i\right) \otimes_1 \left(\sum_{j=1}^{n} b_j e_j\right) =
\sum_{i=1}^{n} \sum_{j=1}^{n} a_i b_j (e_i \otimes e_j)
と定義します。

  • (双線型性)
    • 任意の  u, v, w \in V に対して  (u + v) \otimes_1 w = (u \otimes_1 w) + (v \otimes_1 w)
    • 任意の  u, v, w \in V に対して  u \otimes_1 (v + w) = (u \otimes_1 w) + (v \otimes_1 w)
    • 任意の  u, v \in V、任意の  a \in K に対して  au \otimes_1 v = u \otimes_1 av = a(u \otimes_1 v)

が成り立ちます。

 \otimes_k : T^k (V) \times V \to T^{k+1} (V) k=1 のときは  \otimes_1 k \ge 2 のときは
 (e_{ { i_{1} } } \otimes e_{ {i_{2} }} \otimes \cdots \otimes e_{ { i_{k} } }) \otimes_k e_j
  =  e_{ { i_{1} } } \otimes e_{ {i_{2} }} \otimes \cdots \otimes e_{ { i_{k} } } \otimes e_j
帰納的に定義します。

これを繰り返して  \otimes_{k,l} : T^k (V) \times T^l (V) \to T^{k+l} (V) を定義することができます。

  • (結合性)
    • 任意の  x \in T^k (V) y \in T^l (V) z \in T^m (V) に対して  (x \otimes_{k,l} y) \otimes_{k+l,m} z = x \otimes_{k,l+m} (y \otimes_{l,m} z)
  • (双線型性)
    • 任意の  x, y \in T^k (V) z \in T^l (V) に対して  (x + y) \otimes_{k,l} z = (x \otimes_{k,l} z) + (y \otimes_{k,l} z)
    • 任意の  x \in T^k (V) y, z \in T^l (V) に対して  x \otimes_{k,l} (y + z) = (x \otimes_{k,l} y) + (x \otimes_{k,l} z)
    • 任意の  x \in T^k (V) y \in T^l (V)、任意の  a \in K に対して  ax \otimes_{k,l} y = x \otimes_{k,l} ay = a(x \otimes_{k,l} y)

が成り立ちます。

 \otimes_{*} : T(V) \times T(V) \to T(V)
 \displaystyle \left(\sum_{i=1}^{n} x_i \right) \otimes_* \left(\sum_{j=1}^{n} y_j \right) =
\sum_{i=1}^{n} \sum_{j=1}^{n} (x_i \otimes_{i,j} y_j)
( x_i \in T^i (V) y_j \in T^j (V))と定義すると

  • (結合性)
    • 任意の  x, y, z \in T(V) に対して  (x \otimes_{*} y) \otimes_{*} z = x \otimes_{*} (y \otimes_{*} z)
  • (双線型性)
    • 任意の  x, y, z \in T(V) に対して  (x + y) \otimes_{*} z = (x \otimes_{*} z) + (y \otimes_{*} z)
    • 任意の  x, y, z \in T(V) に対して  x \otimes_{*} (y + z) = (x \otimes_{*} y) + (x \otimes_{*} z)
    • 任意の  x, y \in T(V)、任意の  a \in K に対して  ax \otimes_{*} y = x \otimes_{*} ay = a(x \otimes_{*} y)

が成り立ちます。

 \otimes_* \otimes と書くと  \bigwedge (V) に演算  \otimes : T(V) \times T(V) \to T(V) が定義できます。

  • (結合性)
    • 任意の  x, y, z \in T(V) に対して  (x \otimes y) \otimes z = x \otimes (y \otimes z)
  • (双線型性)
    • 任意の  x, y, z \in T(V) に対して  (x + y) \otimes z = (x \otimes z) + (y \otimes z)
    • 任意の  x, y, z \in T(V) に対して  x \otimes (y + z) = (x \otimes y) + (x \otimes z)
    • 任意の  x, y \in T(V)、任意の  a \in K に対して  ax \otimes y = x \otimes ay = a(x \otimes y)

が成り立ちます。 T(V) は体  K 上の単位的結合代数となります。