掃き出し法の順序に依存しない記法(2)
前回の議論では何が解となるのか明確には書いていなかったので、わかるように書き直したいと思います。
連立一次方程式
を、有理数全体の体 に を付け加えて拡大した体 で考えます。逆行列を行列式で表すことができることから、連立一次方程式の解は の元で表すことができます。
、 を の基底とします。
とし、一次方程式 を と表します。一次方程式全体の集合を とおきます。 は 上のベクトル空間となります。
( は「真」を、 は「偽」を表すとします)を、 と に対して、 のとき 、 のとき とします。
に対して、、、 とおきます。
(1) 任意の 、 に対して となる が存在します。
[証明] を 、 を とするとき、 は を満たします。[証明終わり]
に対して 、 に対して とします。、 は の部分空間となります。
かつ となる を の解とします。このとき と書くことにします。 は一意的にはなりませんがここではこの形で議論を進めます。
を連立一次方程式(*)とします。 とします。
、 ( は集合の直和)とします。
とおくと ( はベクトル空間の直和)となります。
とおきます。
の元の中から で であるものを一つずつ集めた集合を とおきます。
、 とおきます。
(2)
[証明] をとると(1)より となる が存在します。 となる が存在します。
より となります。[証明終わり]
(3)
[証明] (2)より となります。[証明終わり]
(4)
[証明] の定義より となって となるので成り立ちます。[証明終わり]
(5)
[証明] (4) り となるので成り立ちます。[証明終わり]
(6) 、 ならば 、 となる が存在します。
[証明] かつ とします。 であり、 かつ となる が存在します。 とおくと かつ となります。[証明終わり]
(7) となる が存在します。
[証明] (6)より
となります。最後の項は(5)より とおけば成り立ちます。[証明終わり]