写像の分類の説明
を集合、 を写像とします。、、 を前回と同じものとします。 をとり とおきます。前回の説明を続けていきます。
に対して
とおきます。
以下の条件を考えます。条件 から を追加します。
- 任意の に対して
- 任意の に対して
- 上で は単射
- 上で は全順序
- は無限集合
- かつ ならば は極小元を持つ
- 任意の に対して
- 任意の に対して
これらの条件により以下の表のようにタイプ から に分類することができます。
タイプ | 図式 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
○ | ○ | × | × | × | × | × | × | ||
○ | × | ○ | × | × | × | × | × | ||
× | ○ | × | ○ | × | ○ | ○ | × | ||
× | × | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × |
この表が成り立つことを以下で示します。
(P1) が ならば
[証明] (O5)より となりますが、 なので となり、 となります。[証明終わり]
(P2) が ならば
[証明] ならば 、 ならば(P1)より となり となります。[証明終わり]
(P3) が かつ ならば
[証明] (P1)より となり (P2)より となります。[証明終わり]
(P4) が ならば となる が存在する
[証明] (O5)より となり、 なので となります。(O6)より となるので となる が存在します。[証明終わり]
(P5) ならば または
[証明] のときは より となります。
または を仮定して または を示します。 のとき(O5)より 、 のとき(O8)より 、 のとき(O7)より 、 のとき(O8)より となり が成り立ちます。
よって帰納法により主張が成り立ちます。[証明終わり]
表の内容の証明
(T1)
[証明] 任意の に対して 、 上で は単射を仮定して 上で は全順序であることを示します。
まず半順序であることを示します。任意の に対して 、 ならば であることを、帰納法でを示します。
まず のときを示します。任意の に対して 、 ならば であることを帰納法で示します。
(P2)より ならば となる が存在します。 よりこのような は存在しないので となります。
に対して、任意の に対して 、 ならば であるとき、任意の に対して 、 ならば であることを示します。
と仮定すると、(P2)より となる と、 となる が存在します。 より となります。 なので 、 となり仮定より となります。よって となります。
帰納法により が半順序であることが示されました。
(P5)より は全順序となります。[証明終わり]
(T2)
[証明] 任意の に対して 、 上で は単射ではないと仮定して 上で は全順序ではないことを示します。
より 、 となる が存在します。(P5)より または となります。 とします。 なので(P1)より となります。、、より となるので、 は半順序ではありません。[証明終わり]
(T3)
[証明] 任意の に対して 、 が存在して を仮定して 上で は全順序ではないことを示します。
より となる が存在します。 より となるので となって (P1)より となります。よって となりますが、、 であるので は半順序ではありません。[証明終わり]
(T4)
[証明] が存在して を仮定して 上で は全順序であることを示します。
より となる が存在します。 のときは となるので は全順序となります。 とします。
に対して とおきます。
、 とすると (P4)より となる が存在します。
ここで と仮定すると 、 となり、 となるので となります。よって 、 となります。また となるので同様に となって、 となります。これは に矛盾となります。
よって 、 ならば とはなりません。
よって かつ ならば となり、 は半順序、(P5)より全順序となります。[証明終わり]
(T5)
[証明] 任意の に対して 、 上で は単射を仮定して は無限集合であることを示します。
(T6)
[証明] 任意の に対して 、 上で は全順序を仮定して かつ ならば は極小元を持つことを示します。
とおきます。任意の に対して なので となります。
より が存在します。(O5)より 、 より であり、 より は全順序なので となります。よって となり となります。
よって
- かつ
となり(O1)より
- (*1) かつ (*2)
となる が存在します。(*2)よりある が存在して となります。 より は全順序なので 、よって となります。(*1)より任意の に対して なので となり、 より は全順序なので となります。よって (*1)より は の最小元となります。[証明終わり]
(T7)
[証明] (P5)より
上で は全順序 は半順序
任意の に対して
が成り立ちます。[証明終わり]
自然数の定義
とは別に、 を と同様に定義します。このとき を 、 を として定義します。 は を満たすとします。
を
と定義します。 となるので は全射となります。
(N1)
[証明] 、 が成り立つので が成り立ちます。
をとります。 かつ であるので、(P5)より ならば となり(P1)より となります。よって かつ となり となります。[証明終わり]
(N2) に対して は有限集合
[証明] となるので は有限集合となります。
が有限集合と仮定します。(N1)、(T7)より となり、(FM6)より は有限集合となります。
よって帰納法により主張が成り立ちます。[証明終わり]
(N3) 集合 が全順序 に関する最大元を持たないならば は無限集合
[証明] が最大元を持たないので任意の に対して となる が存在します。そのような の一つを とおくことによって を定義することができます。以前の議論と同様に、 を定義します。 をとります。 の への制限は単射となりますが、 は像に含まれないので全射ではありません。よって は無限集合となり、 も無限集合となります。[証明終わり]
(N4) 集合 が全順序 に関する最小元を持たないならば は無限集合
[証明] (N3)と同様です。[証明終わり]
(T8)
[証明] が存在して であることを仮定して は有限集合であることを示します。
は全射なので(T6)より となる最小の が存在します。(N2)より は有限集合なので(FM2)より は有限集合となります。
任意の に対して であることを仮定して は無限集合であることを示します。
ならば 任意の に対して かつ 任意の に対して となることは明らか。
かつ となる が存在すると仮定すると、(P1)より となり、 から となるので は成り立ちません。よって が成り立つならばそのような は存在しないので は半順序となり、(P5)より 上で は全順序となります。
よって(T2)より 、(T5)より が成り立ちます。[証明終わり]
(T10)
[証明] 上で は単射ではないと仮定して は有限集合であることを示します。
より 、 となる が存在します。(P5)より または となります。 とします。(P3)より となり(T8)より は有限集合となります。 の場合も同様です。[証明終わり]
(T11)
[証明] が存在して を仮定して 上で は単射であることを示します。
ならば (T9)より は有限集合となります。(P4)より ならば となる が存在します。よって より任意の に対して となる が存在するので は全射となります。よって は単射となります。[証明終わり]
(T12)
[証明] が存在して 、 任意の に対して を仮定して 上で は単射ではないことを示します。
(T13)
[証明] 上で は全順序であることを仮定して かつ ならば は極小元を持つことを示します。
が成り立つのは 、、 の場合となります。
の場合は(T6)より が成り立ちます。、 の場合は(T9)、(T10)より は有限集合となります。(N4)より が成り立ちます。
上で は全順序ではないことを仮定して かつ かつ極小元を持たない が存在することを示します。
が成り立たないは 、 の場合となります。このとき が成り立ちます。
は全順序ではないとすると(P5)より半順序ではありません。よって かつ となる が存在します。(P1)より となり、 から となります。 が成り立つので となります。よって は極小元を持たないので は成り立ちません。[証明終わり]
以上で表の説明が終わりました。
- (T1)
- (T2)
- (T3)
- (T4)
- (T5)
- (T6)
- (T7)
- (T8)
- (T9)
- (T10)
- (T11)
- (T12)
- (T13)
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