エレファント・ビジュアライザー調査記録

ビジュアルプログラミングで数式の変形を表すことを考えていくブロクです。

代数的構造による圏論(2)

圏論の道案内」では自然変換を中心に説明されているということなので、「第4章 自然変換」のあたりから読んでいこうと考えています。

その前の「第3章 関手」ではいろいろな例が書かれていますが、これは自然変換に関連したものと思われます。

その前に「前順序」の説明があるのですが、これは自然変換と関係があるのかどうかよくわかりませんでした。

続いて、この本では「コンマ圏」を使って極限が説明されているようなので、「第5章 普遍性 ⑥射圏,そして一般射圏」のあたりを読んでみようと思います。この本では「コンマ圏」のことを「一般射圏」と呼んでいます。

第4章を見ていく前に、第2章、第3章について簡単に見ていきます。

第2章 圏

 \mathcal{C} は以下のものからなります(一部Wikipediaによる)。

  • 対象の類  \mathrm{ob}(\mathcal{C})
  • 対象の間の射の類  \mathrm{hom}(\mathcal{C})

以下の条件が成り立つとき  \mathcal{C} を圏と呼びます。

 f \in \mathrm{hom}(\mathcal{C}) には域と呼ばれる対象  A \in \mathrm{ob}(\mathcal{C}) および余域と呼ばれる対象  B \in \mathrm{ob}(\mathcal{C}) がただ一つ存在します。このとき「 f A から  B への射である」と言い、 f: A \to B と書き、 A \mathrm{dom}(f) B \mathrm{cod}(f) と書きます。

 f, g に対し、 \mathrm{cod}(f) = \mathrm{dom}(g) であるとき、射の合成と呼ばれる  \mathrm{dom}(f) から  \mathrm{cod}(g) への射  g \circ f が一意的に存在します。以下の結合律、単位律が成り立ちます。

結合律: 射  f, g, h \mathrm{cod}(f) = \mathrm{dom}(g) かつ  \mathrm{cod}(g) = \mathrm{dom}(h) であるならば  h \circ (g \circ f) = (h \circ g) \circ f が成り立ちます。

単位律: 各対象  A ∈ \mathrm{ob}(\mathcal{C}) に対して  A の恒等射と呼ばれる射  1_A: A \to A が存在して、任意の射  f: A \to X および  g: X \to A に対して  1_A \circ f = f g \circ 1_A = g が成り立ちます。

第3章 関手

①関手の定義

 \mathcal{C} から圏  \mathcal{D} への関手  F とは以下の条件を満たすものを言います。

  •  \mathcal{C} の各対象  X \mathcal{D} の各対象  F(X) に対応させる。
  •  \mathcal{C} の射  f: X \to Y \mathcal{D} の射  F(f): F(X) \to F(Y) に対応させる。
  •  \mathcal{C} の任意の射  f: X \to Y g: Y \to Z に対して  F(g \circ f) = F(g) \circ F(f) が成り立つ。
  •  \mathcal{C} の各対象  X ∈ \mathcal{C} に対して  F(1_X) = 1_{F(X)} が成り立つ。
④関手の例3:モノイド準同型(1)

ここでは可換モノイドを「量系」という用語で表しています。量系(可換モノイド)を対象とし、その間の準同型を射とする圏を「量系の圏  \mathbf{Qua}」(「可換モノイドの圏  \mathbf{CMon}」)と呼びます。

⑤関手の例4:モノイド準同型(2)

ここでは半環を「数系」という用語で表しています。「数系  A 上の量系」という用語も使われています。これは一般的な用語がないようで、このブログでは独自に半環上のフラクタル加群と呼んでいます。これが自然変換として扱われているのかどうかまだよくわかりません。

⑥関手の例5:モノイド準同型(3)

ここは以下のような内容が書かれています。引用しておきます。

 A を数系とする。 A 上の量系を対象とし「 \mathbf{Qua} の射であって数による乗法と可換なもの」を射とする圏を  A\mathbf{-Qua} と書く。

数系  A 上の量系  M A\mathbf{-Qua} における同型として  M \cong A であるとき、これをスカラー量系と呼び、その射をスカラー量と呼ぶ。

⑦関手の例6:線型表現(1)

ここは以下のような内容が書かれています。引用しておきます。

数系  A が、乗法についても可換なモノイドとなるとき可換数系と呼ぶ。

 A可換環であるとき、 A 上の量系は加群となり、 A 上の加群と呼ばれる。 A 上の加群を対象とし、 A\mathbf{-Qua} の射を射とする圏を  A\mathbf{-Mod} と書く。

線型空間の間の  K\mathbf{-Mod} の射をを特に線型写像と呼び、体  K 上の線型空間を対象とし、線型写像を射とする圏を  K\mathbf{-Vect} と書く。

 G から  K\mathbf{-Vect} への関手は  G K 上の線型表現と呼ばれる。