非専門的シンギュラリティー研究所

無限に動き続けるシステムを表す方法を AI なども使って考えていきます。

数学ゲーム(28)

フェルマーの小定理パズル(5)

前回の議論で

  •  \mathbb{Z} における  p を法とする剰余類全体  \mathbb{Z}/p\mathbb{Z} が体であること、
  •  \mathbb{Z}/p\mathbb{Z} から  0 を除いた  (\mathbb{Z}/p\mathbb{Z})^\times が乗法に関して群であること

がわかりました。

有限群  G の元の個数を  |G| と表します。

ラグランジュの定理

有限群  G とその部分群  H に対して
 |G| = |G:H| \cdot |H|
が成り立ちます。

 |G:H| H に関する左剰余類または右剰余類の個数を表します。これは証明の中で説明します。

証明

 |H| = n H = \{h_1, h_2, \cdots, h_n\} とします。

 f: G \to \mathfrak{P}(G) ( \mathfrak{P}(G) G のべき集合)を  x \mapsto xH という写像とします。 f の像  f(G) の元の個数を  m f(G) = \{C_1, C_2, \cdots, C_m\} とします( G の部分集合として  f^{-1}(C_j) = C_j で、 G はこれらの共通部分のない集合に分割されます)。各  C_j から1個ずつ元  c_j をとります。

 x \in G に対して  xH = C_j となる  C_j が存在し、 x \in C_j = c_jH より  x = c_j h_i となる  h_i が存在します。

 c_j h_i = c_{j'} h_{i'} とすると、
 C_j = c_j H = c_j h_i H = c_{j'} h_{i'} H = c_{j'} H = C_{j'}
 c_j = c_{j'}
 h_i = c_j^{-1} c_j h_i = c_j^{-1} c_{j} h_{i'} = h_{i'}
となります。

よって

  •  G = \{c_j h_i \mid i = 1, 2, \cdots, n; \ j = 1, 2, \cdots, m\}
  •  c_j h_i = c_{j'} h_{i'} ならば  i = i' かつ  j = j'

となり  G の元の個数は  mn となります。

次に  g: G \to \mathfrak{P}(G) x \mapsto Hx という写像とします。 g の像  g(G) の元の個数を  m' g(G) = \{D_1, D_2, \cdots, D_{m'}\} とします( G の部分集合として  g^{-1}(D_j) = D_j で、 G はこれらの共通部分のない集合に分割されます)。各  D_j から1個ずつ元  d_j をとります。

 x \in G に対して  Hx = D_j となる  D_j が存在し、 x \in D_j = Hd_j より  x = h_i d_j となる  h_i が存在します。

 h_i d_j = h_{i'} d_{j'} とすると、
 D_j = H d_j = H h_i d_j = H h_{i'} d_{j'} = H d_{j'} = D_{j'}
 d_j = d_{j'}
 h_i = h_i d_j d_j^{-1} = h_{i'} d_j d_j^{-1} = h_{i'}
となります。

よって

  •  G = \{h_i d_j \mid i = 1, 2, \cdots, n; \ j = 1, 2, \cdots, m'\}
  •  h_i d_j = h_{i'} d_{j'} ならば  i = i' かつ  j = j'

となり  G の元の個数は  m'n となります。

よって  m = m' となります。

 |H:G| = m = m' と定義します。

系1

有限群  G とその部分群  H に対して  |H| |G| の約数となります。

系2

有限群  G の元  x に対して  x^{|G|} = e

系2の証明

 x \in G とすると
 x, x^2, x^3, \cdots
の中に  x^i = x^j となる  x^i x^j が存在します。 x^{i-j} = e となります。

 x^{n} = e を満たす最小の正の自然数を  n とします。 \{e, x, x^2, x^3, \cdots, x^{n-1}\} は元の個数が  n G の部分群となります。系1より  n |G| の約数となり  |G| = nm となる  m が存在します。よって
 x^{|G|} = x^{nm} = (x^{n})^m = e^m = e
となります。