整列可能定理(6)
『集合論入門 (ちくま学芸文庫)』を見ていきます。
整列集合
(『集合論入門 (ちくま学芸文庫)』pp.148 - 157)
順序集合は、その空ならざるいかなる部分集合も最初の元をもつとき、整列集合であるという。空(順序)集合 は、便宜上整列集合の特別の場合であると考える。整列集合の、空ならざる部分集合 B の最初の元を
と書く。
(a) 整列集合の部分集合は、また整列集合である。
[証明]
-
を整列集合、
とします。
-
は全順序集合となります。
-
、
とすると
となるので
は最小元を持ちます。
- よって
は整列集合となります。
(b) 整列集合に同型な順序集合は、また整列集合である。
[証明]
-
を整列集合、
を順序集合、
を同型写像(
、
ならば
となる全単射)とします。
-
、
ならば
となります。
- よって
は全順序集合となります。
-
、
とすると
、
となるので
は最小元
を持ちます。
-
となる
があるとします。
-
となり、
が最小元であることに矛盾
- よって
は
の最小元となります。
- よって
は整列集合となります。
(c)
を整列集合とするとき、
となるような
の元の列
は存在しない。
[証明]
- このような列が存在するとし、
とおきます。
-
が整列集合であることから、
の最小元
が存在します。
-
となる
が存在します。
-
となり、
が最小元であることに矛盾
- よってこのような列は存在しません。
整列集合 の元
に対して、
よりも前にある元の全体から成る
の部分(順序)集合を、
の
による切片といい
と書く:
(d)
を整列集合とし、
なる
の元
をとれば、当然
である。このとき、
の
による切片
をつくれば、それは
と等しい: 
[証明]
-
-
-
-
のとき、
ならば
となります。
- よって
のとき、
であることは
かつ
であること同値となります。
- よって
(e) 整列集合
の切片
のある元
よりも小さい
の元は、また
に属する。すなわち、
、
ならば
である。
[証明]
-
、
とします。
-
かつ
なので
となります。
- よって
となります。
(f)
を整列集合
の部分集合とする。このとき、
のどの元
に対しても、それよりも小さい
の元がつねにまた
に属するならば、
は
と等しいか、さもなければ
のある切片
と等しい。
[証明]
-
を整列集合、
とします。
- (a) より
も整列集合となります。
- 任意の
に対して、任意の
に対して
ならば
であるとします。
- 任意の
に対して、
となります。(1)
-
とします。
-
とします。
-
、
となります。(2)
-
であることを証明します。
-
をとります。
-
となります。(3)
- (1) より
となります。
- (3) より
となり、(2)
に矛盾
- よって
となります。
-
- よって
となります。
(g)
を整列集合
から整列集合
への同型対応とする。しからば、
の任意の切片
の
による像
は、
の切片
に等しい。
[証明]
-
とすると
-
-
- よって
-
とすると
-
-
-
- よって
- よって
定理 1. 整列集合 からその部分集合
への同型対応を
とすれば、
のいかなる元
に対しても
または
が成立する。
[証明]
-
となる
が存在するとします。
-
とおくと
- 両辺を
で写すと
が順序を保存することから
-
となり
が最小元であることに矛盾
- よって任意の
に対して
または
となります。
(a) 整列集合
から
自身への同型対応は、
のいかなる元
に対しても
となる関数
、すなわち
上の恒等関数以外にはあり得ない。
[証明]
- 定理 1 より
を同型対応とすると、任意の
の元
に対して
または
が成り立ちます。
- 同様に
または
が成り立ちます。
- よって
が成り立ちます。
(b) 整列集合
から整列集合
への同型対応は、あってもただ一つである。
[証明]
-
、
を同型対応とすると、
は同型対応となります。
- (a) より
は恒等写像
- よって
(c) 整列集合は、そのいかなる切片とも同型にはなり得ない。さらに一般に、整列集合は、そのいかなる部分集合のいかなる切片とも同型になり得ない。
[証明]
-
を整列集合、
をその部分集合、
をその切片とします。
-
を同型対応とすると、(a) より
は恒等写像となります。
-
となり矛盾
- よってこのようは
は存在しません。
(d)
を整列集合とするとき、
は
の二つの異なる切片と同時に同型になり得ない。
[証明]
-
、
とします。
-
は
の切片となります。
- (c) より
は
と同型になりません。
- よって
は
と
の両方と同型にはなりません。
(e) 整列集合
の二元
および整列集合
の二元
に対して
が成立するとする。しかるときは、 ならば
である。
[証明]
-
、
を同型対応とします。
-
とすると、(g) より
の
による像
は、
の切片
に等しい。
-
の
への制限
により
と
は同型となります。
- (d) により
となります。
- よって
となります。
- よって
となります。
(f)
を整列集合とする。このとき、
なる
の元
があるような
の元
全体の集合は、
と一致するか、さもなければ
のある切片と一致する。
[証明]
-
とおきます。
-
とします。
-
とおきます。
-
、
となります。
-
と仮定します。
-
をとります。
-
が存在して
- 同型
が存在します。
- (定理 1 の前の) (g) より
による
の像は
となります。
-
となり矛盾
- よって
となります。
定理 2. を整列集合とすれば次の三つの場合のただ一つだけが成立する:
(1) は
と同型
(2) は
のある切片と同型
(3) は
のある切片と同型
[証明]
-
とおきます。
- (d) より任意の
に対して
となる
がただ一つ存在します。
- この関数を
とおきます。
- (e) より
ならば
- よって
- (f)より
は
と一致するか、
のある切片と一致し、
は
と一致するか、
のある切片と一致します。
-
が
のある切片
と一致し、
が
のある切片
一致することはありません。
- もしそうならば
-
-
-
となり矛盾
-
- もしそうならば
- 次の三つの場合が考えられます。
- (1)
かつ
のとき。このときは
- (2)
かつ
のとき。このときは
- (3)
かつ
のとき。このときは
- (1)
- これらのどの二つも両立しません。
- (1) と (2) が両立したとすると、
となって (c) に矛盾
- (1) と (3) が両立したとすると、
となって (c) に矛盾
- (2) と (3) が両立したとすると、
-
から
への同型対応を
とすると
- それによる
の像は、
の、したがって
のある切片
に等しい。
-
となって (c) に矛盾
-
- (1) と (2) が両立したとすると、






















