非専門的シンギュラリティー研究所

無限に動き続けるシステムを表す方法を AI なども使って考えていきます。

証明路開発支援システム(27)

整列可能定理(6)

集合論入門 (ちくま学芸文庫)』を見ていきます。

整列集合

(『集合論入門 (ちくま学芸文庫)』pp.148 - 157)

順序集合は、その空ならざるいかなる部分集合も最初の元をもつとき、整列集合であるという。空(順序)集合  \varnothing は、便宜上整列集合の特別の場合であると考える。整列集合の、空ならざる部分集合 B の最初の元を  \min B と書く。

(a) 整列集合の部分集合は、また整列集合である。

[証明]

  •  (A, \prec) を整列集合、 B \subseteq A とします。
  •  (B, \prec) は全順序集合となります。
  •  C \subseteq B C \ne \varnothing とすると  C \subseteq A となるので  C は最小元を持ちます。
  • よって  (B, \prec) は整列集合となります。

(b) 整列集合に同型な順序集合は、また整列集合である。

[証明]

  •  (A, \prec) を整列集合、 (B, \prec) を順序集合、 f: A \to B を同型写像( a_1, a_2 \in A a_1 \prec a_2 ならば  f(a_1) \prec f(a_2) となる全単射)とします。
  •  a_1, a_2 \in A a_1 \prec a_2 ならば  f(a_1) \prec f(a_2) となります。
  • よって  (B, \prec) は全順序集合となります。
  •  C \subseteq B C \ne \varnothing とすると  f^{-1}(C) \subseteq A f^{-1}(C) \ne \varnothing となるので  f^{-1}(C) は最小元  a を持ちます。
  •  c \prec f(a) となる  c \in C があるとします。
  •  f^{-1}(c) \prec a となり、 a が最小元であることに矛盾
  • よって  f(a) C の最小元となります。
  • よって  (B, \prec) は整列集合となります。

(c)  A を整列集合とするとき、 a_1 \succ a_2 \succ … \succ a_n \succ … となるような  A の元の列  a_1, a_2, …, a_n, … は存在しない。

[証明]

  • このような列が存在するとし、 B = \{a_1, a_2, …, a_n, …\} とおきます。
  •  A が整列集合であることから、 B の最小元  b が存在します。
  •  b = a_n となる  n が存在します。
  •  b \succ a_{n+1} となり、 b が最小元であることに矛盾
  • よってこのような列は存在しません。

整列集合  A の元  a に対して、 a よりも前にある元の全体から成る  A の部分(順序)集合を、 A a による切片といい  A(a) と書く:
 A(a) = \{ x \mid x \prec a, \ x \in A \}

(d)  A を整列集合とし、 a \prec b なる  A の元  a, b をとれば、当然  a \in A(b) である。このとき、 A(b) a による切片  A(b)(a) をつくれば、それは  A(a) と等しい:  A(b)(a) = A(a)

[証明]

  •  A(a) = \{ x \mid x \prec a, \ x \in A \}
  •  A(b) = \{ x \mid x \prec b, \ x \in A \}
  •  A(b)(a) = \{ x \mid x \prec a, \ x \in A(b) \} = \{ x \mid x \prec a, \ x \prec b, \ x \in A \}
  •  a \prec b のとき、 x \prec a ならば  x \prec b となります。
  • よって  a \prec b のとき、 x \prec a であることは  x \prec a かつ  x \prec b であること同値となります。
  • よって  A(b)(a) = \{ x \mid x \prec a, \ x \in A \} = A(a)

(e) 整列集合  A の切片  A(a) のある元  b よりも小さい  A の元は、また  A(a) に属する。すなわち、 b \in A(a) x \prec b ならば  x \in A(a) である。

[証明]

  •  b \in A(a) x \prec b とします。
  •  x \prec b かつ  b \prec a なので  x \prec a となります。
  • よって  x \in A(a) となります。

(f)  B を整列集合  A の部分集合とする。このとき、 B のどの元  b に対しても、それよりも小さい  A の元がつねにまた  B に属するならば、  B A と等しいか、さもなければ  A のある切片  A(a) と等しい。

[証明]

  •  A を整列集合、 B \subseteq A とします。
  • (a) より  B も整列集合となります。
  • 任意の  b \in B に対して、任意の  a \in A に対して  a \prec b ならば  a \in B であるとします。
  • 任意の  b \in B に対して、 A(b) \subseteq B となります。(1)
  •  B \ne A とします。
  •  a = \min ( A \setminus B ) とします。
  •  A(a) \subseteq B a \notin B となります。(2)
  •  B \subseteq A(a) であることを証明します。
    •  b \in B \setminus A(a) をとります。
    •  a \in A(b) となります。(3)
    • (1) より  A(b) \subseteq B となります。
    • (3) より  a \in A(b) \subseteq B となり、(2)  a \notin B に矛盾
    • よって  B \subseteq A(a) となります。
  • よって  B = A(a) となります。

(g)  φ を整列集合  A から整列集合  B への同型対応とする。しからば、  A の任意の切片  A(a) φ による像  A(a)^φ は、  B の切片  B(φ(a)) に等しい。

[証明]

  •  a' \in A(a) とすると  a' \prec a
  •  φ(a') \prec φ(a)
  •  φ(a') \in B(φ(a))
  • よって  A(a)^φ \subseteq B(φ(a))
  •  b \in B(φ(a)) とすると  b \prec φ(a)
  •  φ^{-1}(b) \prec a
  •  φ^{-1}(b) \in A(a)
  •  b \in A(a)^φ
  • よって  A(a)^φ \supseteq B(φ(a))
  • よって  A(a)^φ = B(φ(a))

定理 1. 整列集合  A からその部分集合  B への同型対応を  φ とすれば、 A のいかなる元  a に対しても
 φ(a) = a または  φ(a) \succ a
が成立する。
[証明]

  •  φ(a) \prec a となる  a が存在するとします。
  •  a = \min \{ a \mid φ(a) \prec a \} とおくと  φ(a) \prec a
  • 両辺を  φ で写すと  φ が順序を保存することから  φ(φ(a)) \prec φ(a)
  •  φ(a) \in \{ a \mid φ(a) \prec a \} となり  a が最小元であることに矛盾
  • よって任意の  a \in A に対して  φ(a) = a または  φ(a) \succ a となります。

(a) 整列集合  A から  A 自身への同型対応は、 A のいかなる元  a に対しても  φ(a) = a となる関数  φ、すなわち  A 上の恒等関数以外にはあり得ない。

[証明]

  • 定理 1 より  φ: A \to A を同型対応とすると、任意の  A の元  a に対して
     φ(a) = a または  φ(a) \succ a
    が成り立ちます。
  • 同様に
     φ^{-1}(a) = a または  φ^{-1}(a) \succ a
    が成り立ちます。
  • よって  φ(a) = a が成り立ちます。

(b) 整列集合  A から整列集合  B への同型対応は、あってもただ一つである。

[証明]

  •  f: A \to B g: A \to B を同型対応とすると、 f \circ g^{-1}: B \to B は同型対応となります。
  • (a) より  f \circ g^{-1} は恒等写像
  • よって  f = g

(c) 整列集合は、そのいかなる切片とも同型にはなり得ない。さらに一般に、整列集合は、そのいかなる部分集合のいかなる切片とも同型になり得ない。

[証明]

  •  A を整列集合、 B をその部分集合、 B(b) をその切片とします。
  •  f: A \to B(b) を同型対応とすると、(a) より  f は恒等写像となります。
  •  f(b) = b \notin B(b) となり矛盾
  • よってこのようは  f は存在しません。

(d)  A, B を整列集合とするとき、 A B の二つの異なる切片と同時に同型になり得ない。

[証明]

  •  b_1, b_2 \in B b_1 \prec b_2 とします。
  •  B(b_1) B(b_2) の切片となります。
  • (c) より  B(b_1) B(b_2) と同型になりません。
  • よって  A B(b_1) B(b_2) の両方と同型にはなりません。

(e) 整列集合  A の二元  a_1, \ a_2 および整列集合  B の二元  b_1, \ b_2 に対して

 A(a_1) \simeq B(b_1), \ A(a_2) \simeq B(b_2)
が成立するとする。しかるときは、  a_1 \prec a_2 ならば  b_1 \prec b_2 である。
[証明]

  •  f: A(a_1) \to B(b_1) g: A(a_2) \to B(b_2) を同型対応とします。
  •  a_1 \prec a_2 とすると、(g) より  A(a_1) g による像  A(a_1)^g は、  B(b_2) の切片  B(g(a_1)) に等しい。
  •  g A(a_1) への制限  g \restriction A(a_1) により  A(a_1) B(g(a_1)) は同型となります。
  • (d) により  B(b_1) = B(g(a_1)) となります。
  • よって  b_1 = g(a_1) \in B(b_2) となります。
  • よって  b_1 \prec b_2 となります。

(f)  A, B を整列集合とする。このとき、 A(a) \simeq B(b) なる  B の元  b があるような  A の元  a 全体の集合は、 A と一致するか、さもなければ  A のある切片と一致する。

[証明]

  •  A_1 = \{ a \in A \mid \exists b \in B : A(a) \simeq B(b) \} とおきます。
  •  A_1 \ne A とします。
  •  a = \min (A \setminus A_1) とおきます。
  •  a \notin A_1 A(a) \subseteq A_1 となります。
  •  A(a) \ne A_1 と仮定します。
  •  a' \in A_1 \setminus A(a) をとります。
  •  b \in B が存在して  A(a') \simeq B(b)
  • 同型  f: A(a') \to B(b) が存在します。
  • (定理 1 の前の) (g) より  f による  A(a) の像は  B(f(a)) となります。
  •  a \in A_1 となり矛盾
  • よって  A(a) = A_1 となります。

定理 2.  A, B を整列集合とすれば次の三つの場合のただ一つだけが成立する:
(1)  A B と同型
(2)  A B のある切片と同型
(3)  B A のある切片と同型

[証明]

  •  A_1 = \{ a \in A \mid \exists b \in B : A(a) \simeq B(b) \}
     B_1 = \{ b \in B \mid \exists a \in A : A(a) \simeq B(b) \}
    とおきます。
  • (d) より任意の  a \in A_1 に対して  A(a) \simeq B(b) となる  b \in B_1 がただ一つ存在します。
  • この関数を  \varphi とおきます。
  • (e) より  a_1 \prec a_2 ならば  \varphi(a_1) \prec \varphi(a_2)
  • よって  A_1 \simeq B_1
  • (f)より
     A_1 A と一致するか、 A のある切片と一致し、
     B_1 B と一致するか、 B のある切片と一致します。
  •  A_1 A のある切片  A(a) と一致し、
     B_1 B のある切片  B(b) 一致することはありません。
    • もしそうならば
      •  A(a) = A_1 \simeq B_1 = B(b)
      •  a \in A_1 = A(a)
      •  a \prec a となり矛盾
  • 次の三つの場合が考えられます。
    • (1)  A_1 = A かつ  B_1 = B のとき。このときは  A \simeq B
    • (2)  A_1 = A かつ  B_1 = B(b) のとき。このときは  A \simeq B(b)
    • (3)  A_1 = A(a) かつ  B_1 = B のとき。このときは  A(a) \simeq B
  • これらのどの二つも両立しません。
    • (1) と (2) が両立したとすると、 B \simeq B(b) となって (c) に矛盾
    • (1) と (3) が両立したとすると、 A \simeq A(a) となって (c) に矛盾
    • (2) と (3) が両立したとすると、
      •  A から  B(b) への同型対応を  \varphi とすると
      • それによる  A(a) の像は、 B(b) の、したがって  B のある切片  B(b') に等しい。
      •  B \simeq A(a) \simeq B(b') となって (c) に矛盾