非専門的シンギュラリティー研究所

無限に動き続けるシステムを表す方法を AI なども使って考えていきます。

証明路開発支援システム(29)

整列可能定理(8)

集合論入門 (ちくま学芸文庫)』を見ていきます。

整列可能定理

(『集合論入門 (ちくま学芸文庫)』pp. 194 - 200)

整列集合  A の元  a に対して、 a よりも前にある元の全体から成る  A の部分(順序)集合を、 A a による切片といい  A(a) と書く:
 A(a) = \{ x \mid x \prec a, \ x \in A \}

(I)  A の部分集合  Γ は、次の条件を満たすときガンマ列であるといわれる:

(a)  Γ は整列集合である。
(b)  Γ の元  a は、 A と切片  Γ(a) との差  A - Γ(a) の代表である:
 a = φ(A - Γ(a))

(II) 二つのガンマ列  Γ_1 Γ_2 をとれば、 Γ_1 = Γ_2 であるか、さもなければ、一方が他方の切片である。

[証明]

  • ガンマ列は整列集合なので、「整列集合」の章の定理 2 より次のただ一つだけが成立します:
    • (1)  Γ_1 Γ_2 と同型
    • (2)  Γ_1 Γ_2 のある切片と同型
    • (3)  Γ_2 Γ_1 のある切片と同型
  • まず (2)  Γ_1 \simeq Γ_2(b) の場合を考えます。
  •  f: Γ_1 \to Γ_2(b) を同型とします。
  •  f は恒等写像ではないとします。
  •  a = \min \{ a \in Γ_1 \mid f(a) \ne a \} とおきます。
  •  Γ_1 がガンマ列であることから  a = φ(A - Γ_1(a))
  •  Γ_2 がガンマ列であることから  f(a) = φ(A - Γ_2(f(a)))
  •  a の最小性から  Γ_1(a) = Γ_2(f(a))
  • よって  f(a) = φ(A - Γ_2(f(a))) = φ(A - Γ_1(a)) = a となり矛盾
  • よって  f は恒等写像となります。
  • よって  Γ_1 = Γ_2(b) となり、 Γ_1 Γ_2 の切片となります。
  • (3) の場合も (2) の場合と同様に、 Γ_2 Γ_1 の切片となります。
  • (1) の場合も同様に、 Γ_1 = Γ_2 となります。

(III) すべてのガンマ列(から成る集合族)の和集合を  Γ とすれば、これを、すべてのガンマ列をその部分順序集合とするような順序集合にすることができる。

[証明]

  •  \Gamma に順序  \prec を定義します。
    •  a_1, \ a_2 \in \Gamma に対して  a_1 \in \Gamma_1 となるガンマ列  \Gamma_1 a_2 \in \Gamma_2 となるガンマ列  \Gamma_2 が存在します。
    •  \Gamma_3 = \Gamma_1 \cup \Gamma_2 とおくと (II) より  \Gamma_3 はガンマ列となります。
    •  \Gamma_3 の順序を  \prec_3 とします。
    •  a_1 \prec a_2 \iff a_1 \prec_3 a_2 と定義します。
    •  \prec の定義は  \Gamma_1 \Gamma_2 の選び方によらないことを証明します。
      •  a_1, \ a_2 \in \Gamma_4 となる任意のガンマ列  \Gamma_4 をとります。
      •  \Gamma_4 の順序を  \prec_4 とします。
      •  a_1, \ a_2 \in \Gamma_5 となる任意のガンマ列  \Gamma_5 をとります。
      •  \Gamma_5 の順序を  \prec_5 とします。
      •  \Gamma_6 = \Gamma_4 \cup \Gamma_5 とおくと (II) より  \Gamma_6 はガンマ列となります。
      •  \Gamma_6 の順序を  \prec_6 とします。
      •  a_1 \prec_4 a_2 \iff a_1 \prec_6 a_2 \iff a_1 \prec_5 a_2 となります。
      • よって  \prec の定義は  \Gamma_3 の選び方によりません。
      • よって  \prec の定義は  \Gamma_1 \Gamma_2 の選び方によりません。
  •  a_1, a_2 \in \Gamma_i となる任意のガンマ列  \Gamma_i の順序を  \prec_i とすると  a_1 \prec a_2 \iff a_1 \prec_i a_2 となります。
  •  \prec は全順序であることを証明します。
    •  a_1, a_2 \in \Gamma_1 となるガンマ列  \Gamma_1 の順序を  \prec_1 とします。
    •  \prec_i は全順序なので  a_1 \prec_1 a_2 a_1 = a_2 a_1 \succ_1 a_2 のどれか一つが成り立ちます。
    • よって  a_1 \prec a_2 a_1 = a_2 a_1 \succ a_2 のどれか一つが成り立ちます。
    •  a_1, a_2, a_3 \in \Gamma_2 となるガンマ列  \Gamma_2 の順序を  \prec_2 とします。
    •  \prec_2 は全順序なので  a_1 \prec_2 a_2 a_2 \prec_2 a_3 ならば  a_1 \prec_2 a_3 となります。
    • よって  a_1 \prec a_2 a_2 \prec a_3 ならば  a_1 \prec a_3 となります。

(IV) (III) における順序集合  Γ は整列集合である。

[証明]

  •  S Γ の空でない部分集合とします。
  •  S \cap Γ_1 \ne \varnothing となるガンマ列  Γ_1 が存在します。
  •  Γ_1 は整列集合なので  a = \min ( S \cap Γ_1 ) が存在します。
  •  a S の最小元であることを証明します。
    •  b \in S をとります。
    •  b \in Γ_2 となるガンマ列  Γ_2 が存在します。
    •  \Gamma_3 = \Gamma_1 \cup \Gamma_2 とおくと (II) より  \Gamma_3 はガンマ列となります。
    • (II) より  Γ_1 = Γ_3 または  Γ_1 Γ_3 の切片となります。
    •  a S \cap Γ_3 の最小元となります。
    •  a \le b となります。
    • よって  a S の最小元となります。
  • よって  \Gamma は整列集合となります。

(V)  Γ はガンマ列である。

[証明]

  •  a \in Γ をとります。
  •  a \in Γ_1 となるガンマ列  Γ_1 が存在します。
  •  b \in Γ(a) をとります。
  •  b \in Γ_2 となるガンマ列  Γ_2 が存在します。
  •  \Gamma_3 = \Gamma_1 \cup \Gamma_2 とおくと (II) より  \Gamma_3 はガンマ列となります。
  • (II) より  Γ_1 = Γ_3 または  Γ_1 Γ_3 の切片となります。
  •  Γ_1(a) = Γ_3(a) となります。
  •  b \in Γ_3(a) = Γ_1(a) となります。
  •  Γ(a) = Γ_1(a) となります。
  •  a = φ(A - Γ_1(a)) = φ(A - Γ(a))
  • よって  Γ はガンマ列となります。

(VI)  A の元はすべて  Γ に含まれる。すなわち、 A = Γ である。

[証明]

  •  A \setminus \Gamma \ne \varnothing と仮定します。
  •  a = \varphi(A \setminus \Gamma) とおきます。
  •  \Gamma \cup \{a\} はガンマ列となります。
  • よって  \Gamma \cup \{a\} \subseteq \Gamma となります。
  • よって  a \in \Gamma となり矛盾。
  • よって  A = \Gamma となります。