[定理]
対称式は基本対称式の多項式となります。
[証明]
1変数の場合は、成り立っています。
として、のときには成り立っていると仮定します。
を対称式とします。 が基本対称式の多項式となることを、 の次数に関する帰納法で証明します(帰納法(下))。 帰納法が二重になっていますので、帰納法(上)、帰納法(下)で区別することにします。
であるか、の次数が(すなわちが定数)のときは、明らかに成り立っています。
の次数が以上とします。 はに関する対称式となります。 よって帰納法(上)の仮定(変数の場合)よりを満たす多項式が存在します。 ここでは変数の基本対称式
です。 の次数が以上なので多項式はではありません。 とおくと、は対称式で、となります。 因数定理よりはで割り切れます。 は対称式であることからはで割り切れます。 よって、を満たす対称式が存在します。 の次数は、の次数と等しく、 の次数は、の次数より小さいか、等しいので、 またはの次数は、の次数より小さいか、等しくなります。 よってまたはの次数はの次数より小さくなります。
帰納法(下)の仮定によりは基本対称式の多項式となります。 よっては基本対称式の多項式となります。
[証明終わり]