エレファント・ビジュアライザー調査記録

ビジュアルプログラミングで数式の変形を表すことを考えていくブロクです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

エレファントな整数論(7)

を使って良いことにしたので、前回の議論は群を使って考えることができます。 群による整数の加法 集合 と の二項演算 が は結合法則を満たす。すなわち 任意の に対して が存在して、任意の に対して 任意の に対して が存在して、 が成り立つとき と の組…

エレファントな整数論(6)

(自然数全体の集合)と数学的帰納法の関係を考察したので、ここからは数学的帰納法の原理が成り立つ が存在するとして進めます。 整数の加法 に対して を と定義します。 となります。 任意の に対して 任意の に対して (Z5) 任意の に対して (Z4) 任意の に…

エレファントな整数論(5)

自然数の乗法 乗法 を と帰納的に定義します。乗法の演算子を省略して を と書くことができるものとします。乗法は加法に優先するとしてかっこを省略することができるものとします。 のとき となるので、帰納法により (M1) 任意の に対して が成り立ちます。…

エレファントな整数論(4)

前回の議論を整数に対応するように書き直していきます。 整数の順序による表記 順序集合 の部分集合 に対して、任意の に対して であるような が存在するとき は下に有界、任意の に対して であるような が存在するとき は上に有界であると言います。 を順序…

エレファントな整数論(3)

いったんできるだけ を使わないように書き直します。これが意味があるかどうかはもう少し進めてみないとわかりません。 自然数の帰納的表記 を集合、、 とし、 は (N1)「 が 、 を満たすならば 」であるとします。 となるので が を満たすとすると、 の順序…

エレファントな整数論(2)

自然数の帰納的表記 を集合、、 とし、 は (条件1)「 が 、 を満たす集合ならば である」を満たすとします。このとき をおくと は上の条件を満たすので となります。よって となります。さらに は (条件2) を満たすとします。 は自然数全体を表す集合と考え…

エレファントな整数論(1)

ここでは「初等整数論入門」に従って素因数分解の一意可能性の定理(以下の定理 5)を数式を使って書く方法について検討してみたいと思います。この定理は「オイラーとリーマンのゼータ関数」でも取り上げられています。このブログの記事「群論の計算(20)」の…

中間報告(4)

このブログは、論理プログラミングに実行順序を指定する機能を追加してサーバーで動作するような無限に動作するプログラムを記述することを一つの目標としています。無限の実行順序を指定するには、個別に指定することはできないので、何かのパターンで指定…

エレファントな関数論(6)

コーシーの積分定理の証明 が を中心とする円の内部で微分可能とします。 が で微分可能とすると、任意の に対して が存在して が成り立ちます。 、 とすると となるので は で連続となります。 を通る長方形の積分路 に対して となります。ここで となりま…

エレファントな関数論(5)

コーシーの積分定理の証明 「複素関数概論」に従ってコーシーの積分定理の証明を見ていきたいと思います。 複素積分 向きのついた 級の曲線 上で定義された複素関数 の 上の複素積分を と定義します。 を積分路と呼びます。 弧長による積分 積分路 の弧長に…

エレファントな関数論(4)

複素数を線型写像と考えて対角化すると良いと思われるのですが、その前にいったん行列を使って書き直してみます。 はユークリッド空間 の距離によるものとします。、 はそれぞれ 、 に関する の偏導関数を表します。命題 1 が の近傍で 級ならば は で全微分…

エレファントな関数論(3)

コーシー・リーマンの方程式 定義(全微分可能) の開集合 と に対して、写像 は を満たす、 が存在するとき において全微分可能であると言います。 が の近傍で 級ならば は で全微分可能となります。証明 、 は連続だから に対して適当な をとると とするこ…

エレファントな関数論(2)

コーシー・リーマンの方程式 まずコーシー・リーマンの方程式について調べたほうが良いようなので調べてみます。ここでもWikipediaに従って定義します。複素数 の関数が点 に対して以下の極限が存在するとき、点 で微分可能であると言います。この極限値を微…

エレファントな関数論(1)

行列の行または列を入れ替える操作によって不変であるようなものの記法について、テンソル積を使って書くことができるかと思いましたが、今のところできていません。行または列の結合を可換な和と考えればよいと思われるので可換な和の記法、推移律の記法に…

現代数学のエレファント(7)

逆行列と行列式の関係 記法 を体、 を 上の 次元ベクトル空間、 を の基底とします。 を 、 を とおくと、 の元は ()と表すことができます。 に対して を とします。 に対して を とします。 、 と書くことにします。記法については今後検討します。 行列式…

現代数学のエレファント(6)

ガウスの消去法 Wikipediaによると、ガウスの消去法(または掃き出し法)は連立一次方程式の解法に使われるものですが 行列の階数の計算 行列式の計算 正則行列の逆行列の計算 でも使われます。この記事は行列式や行列のランクを定義から計算できるようにする…

現代数学のエレファント(5)

行列式 行列式の定義 を体 上の 次元ベクトル空間、 を体 上の 次元ベクトル空間とします。 が 任意の に対して 任意の 、任意の に対して を満たすとき、 から への線型写像と呼びます。 から への線型写像の全体を と書くことにします。 に和とスカラー倍…

現代数学のエレファント(4)

逆行列 行列式を使って逆行列を表します。、、 として 、すなわち とします。 を単位行列 とします。ここで は を表すものとします。 の 列目を ( 行目が )とおきます。 は の 列目となります。このとき のように書くことにします。 と から となります。こ…

現代数学のエレファント(3)

さらに準備をしていきます。 テンソル積 を体 上の 次元ベクトル空間、 を基底とします。 を基底とする 上のベクトル空間(に以下のような演算を定義したもの)を -次テンソル冪と呼び ( 個)と書きます(この定義はWikipediaによる)。 の次元は となります。こ…

現代数学のエレファント(2)

逆行列の計算をするための準備をしていきます。 外積 を体 上の 次元ベクトル空間、 を基底とします。 を基底とする 上のベクトル空間(に以下のような演算を定義したもの)を -次外冪と呼び と書きます(この定義はWikipediaによる)。 の次元は二項係数 となり…

現代数学のエレファント(1)

「声に出して読めなくもない数学」は「現代数学のエレファント」に変更しました。このシリーズでは数学のいろいろな理論を「エレファント化」していく予定です。四色問題のコンピューターを使った証明がエレガントではなくエレファントと言われたらしいです…

声に出して読めなくもない数学(2)

前回の議論を「エレファント化」していきます。すなわち、定義から数式の変換で証明できるようにしていきます。 を有限次元ベクトル空間 の有限部分集合とするとき、 の元の個数を 、 で張られた部分空間を と書くことにします。 を と書き、 のとき のかわ…

声に出して読めなくもない数学(1)

無限の順序を指定する方法を考えるということがこのブログの1つの目的なのですが、そのためには数学の理論のイメージを持つ必要があると考えています。「声に出して読みたい…」というのが以前ありましたが、数学に置き換えると数式の操作を通じてイメージを…

エレファントなポアンカレ予想(1)

「論理プログラミング的ポアンカレ予想」は「エレファントなポアンカレ予想」に変更しました。エレガントではないものをエレファントというそうです。「補助線を1本引けば証明できる」というのがエレガントであるのに対して「計算すればできる」というのがエ…

論理プログラミング的ポアンカレ予想(3)

ポアンカレ予想の主張「単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相である」の2次元の場合を考えていきます。「単連結」。「次元」、「閉」の定義をまだ書いていませんが、これは後で定義することにします。「はじめてのトポロジー」という本を参考にします(「…

論理プログラミング的ポアンカレ予想(2)

2次元の場合を見ていく前に、ホモトピーの定義がないとわかりにくいので、定義を書いていきます。ホモトピーのことが書かれた本を持っていなかったので「大学数学の入門5幾何学2 ホモロジー入門」という本を買いました。この本に従って説明をしていきますが…

論理プログラミング的ポアンカレ予想(1)

ポアンカレ予想の説明をWikipediaに従って書いてみます。ポアンカレ予想は1904年にアンリ・ポアンカレによって提出されたもので「単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相である」という主張で、7つのミレニアム懸賞問題のうち唯一解決されている問題となり…

論理プログラミング的リーマン予想(1)

この記事の目的 ここでやりたいことは「論理プログラミング的な手法によってリーマン予想がどのような問題なのかの説明をする」ということです。論理プログラミングの説明を書いていたときに、なかなか説明を簡単に書くことができなくて、何か書くための方法…

半環上のフラクタル代数(9)

論理プログラミングとシークエント計算 集合の記法 集合 に対して は半環(単位元を持つ自明ではない冪等可換半環)となります。 を単位元を持つ自明ではない半環とし、 とします。 は と順序を除いて一意的に表すことができます。よって を と定義することが…

中間報告(3)

論理プログラミング 「論理プログラミング」と「論理計算と随伴関手」のシリーズでは、ブラウザで行われるような無限に続く入出力を、論理プログラミングを使って極限として記述する方法を考えています。しかし実行順序を表す方法がなければ適切に表すことが…