エレファント・コンピューティング調査報告

極限に関する順序を論理プログラミングの手法を使って指定することを目指すブロクです。

エレファントな整数論(1)

ここでは「初等整数論入門」に従って素因数分解の一意可能性の定理(以下の定理 5)を数式を使って書く方法について検討してみたいと思います。この定理は「オイラーとリーマンのゼータ関数」でも取り上げられています。このブログの記事「群論の計算(20)」の「一意分解整域」のところでもこの定理の多項式の場合の証明を書いています。これは体の拡大と体上の多項式の対応を考えるときに必要となるものです。この定理は数学のいろいろな初等的な理論に現れるものと考えられます。

「初等整数論入門」では整数の理論として扱われていますが、自然数の理論と考えることもできます。半環や可換な和の記述に使うこともできると考えられます。

「初等整数論入門」では数学的帰納法と同値な条件、または同様に使うことができる条件が書かれています。これらうちのいくつかの条件に基づいて数式を書くことによって、定理 5 の証明を数式で表すことができると考えられます。

これらの関係は以下のように書かれています。
数学的帰納法の公理  \iff 定理 0  \implies 定理 1  \implies 定理 2  \implies 定理 3 ( \implies 系)  \implies 定理 4 ( \implies 系 1  \implies 系 2)  \implies 定理 5
以下にこれらの定理などを引用しておきます。

公理(数学的帰納法の公理)

自然数の集合  A \subseteq \mathbb{N} が2つの条件

  • (1)  1 \in A
  • (2)  n \in A ならば  n+1 \in A

を満たすならば、 A=\mathbb{N} である。

定理 0

自然数の集合  A が空でなければ、最小数を持つ。

定理 1

任意の  a, b \in \mathbb{Z} \ (a>0) に対して

  •  b = qa + r, \ 0 \le r < a

を満たす  q, r \in \mathbb{Z} がただ1組存在する。

定理 2

 \varnothing \ne J \subseteq \mathbb{Z}イデアルなら

  •  J = a \mathbb{Z} \ (a \ge 0)

を満たす  a \in \mathbb{Z} が存在する。

定理 3

 (a, b) = d とするとき

  •  ax + by = c に整数解がある  \iff (c) \subseteq (d) ( c d で割り切れる)

 a, b が互いに素  \iff 1 = ax + by の形に表せる

定理 4

 (a, b) = 1 で、 bc a で割り切れれば、 c a で割り切れる。

系 1

 (a, b) = 1 のとき  [a, b] = ab

系 2

 (a, b)[a, b] = ab

系 3

 p素数のとき、積  bc p で割り切れれば、 b c p で割り切れる。

系 4

 p素数のとき、積  abc \cdots l p で割り切れれば、因数  a, b, c, \cdots, l のうち少なくとも1つは  p で割り切れる。

定理 5 (素因数分解の一意可能性)

正の整数  a は、素数の積

  •  a = p_1p_2 \cdots p_r

に分解される。この分解は、因数の順序を区別しなければ一意的である。

可換環論の勘どころ (数学のかんどころ)

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