自然数の乗法
乗法 を
と帰納的に定義します。乗法の演算子を省略して を
と書くことができるものとします。乗法は加法に優先するとしてかっこを省略することができるものとします。
のとき
となるので、帰納法により
- (M1) 任意の
に対して
が成り立ちます。
のとき
となるので、帰納法により
- (M2) 任意の
に対して
が成り立ちます。
(M2)と により
- (M3) 任意の
に対して
となり は乗法の単位元となります。
のとき
となるので、帰納法により
- (M4) 任意の
に対して
が成り立ちます。
のとき
となるので、帰納法により
- (M5) 任意の
に対して
が成り立ちます。
(M4)、(M5)より
- (M6) 任意の
に対して
が成り立ちます。
のとき
となるので、帰納法により
- (M7) 任意の
に対して
が成り立ちます。
(M1)、(M2)、(M4)、(M5)、(M7)の計算を書き直すと
- (M1)
- (M2)
- (M4)
- (M5)
- (M7)
より
のようになります。
は
- 加法
に関して可換なモノイドとなり、
- 乗法
に関しても可換なモノイドとなり(M3、M5、M7)、
- 乗法は加法に対して分配法則を満たします(M4、M6)。
よって は(自明ではない)単位元を持つ可換な半環となります。