今回は「平方剰余の相互法則 ガウスの全証明」IIIに従って証明します。
【ガウス記号】
整数でない実数 に対して、
を超えない最大整数を
で表します。これをガウス記号といいます。
となります。(
が整数のときにも
として定義されている場合があります。この関数は floor と呼ばれることがあります。)
【命題1】
、
、
、… 、
を整数でない実数とし、
とおきます。このとき
となります。
[証明]
、
、
、… 、
の中のある
がある整数
に等しいとすると、
なので
となりますが、「
、
、
、… 、
は整数ではない」としていますので、このようにはなりません。よって
、
、
、… 、
はすべて整数ではありません。
、
、
、 … 、
について考えます。
とすると
より
となります。よって
、
、
、 … 、
の
番目までの数
は
となります。 同様に
番目までの数
は
、
番目までの数
は
、… となります。よって
となります。
[証明終わり]
【命題2】
、
が
ではない異なる素数のとき、
、
とおくと、
が成り立ちます。
[証明]
とすると
より
となります。よって
、
となります。命題1で
、
とおくと
が成り立ちます。
としても同様に
が成り立ちます。
[証明終わり]
【命題3】
、
が
ではない異なる素数のとき、
とおくと、
が成り立ちます。
[証明]
、
とおきます。
の元
で、
を
で割った余りが
に含まれるものの個数を
とします。
を
で割った余りが
のとき、
が
に含まれるとき
、
に含まれるとき
とおきます。
「ガウスの補題」の証明と同様に
となります。
の元
で、
を
で割った余り
が
に含まれるときの
の和を
、
を
で割った余り
が
に含まれるときの
の和を
とおくと、
となります。
ここで
となっているので
となります。
一方 を
で割った余りは
なので
となって とあわせると
が成り立ちます。 は奇数なので、
、
は偶数、
、
のどちらかは偶数なので、
は
の倍数であり、
は奇数なので
は偶数であるから
は偶数になります。よって
となります。
[証明終わり]