整数の素数の積への分解
を整域、
を
の単項イデアル全体の集合とします。
で生成された単項イデアルを
と書きます。
だけからなるイデアルを
と書き、イデアル
だけからなる集合を
と書くことにします。
- (E2)
、
、
ならば
(ユークリッド関数の条件(2)*1と同様の条件)を満たす が存在するとします*2。
の素元全体の集合を
とします。
によって(
の乗法によって)生成されたモノイドを
とおきます。
の元で生成された単項イデアル全体の集合を
とします。
このとき が成り立ちます。
[証明] と仮定します。
とし、
となる
をとります。
なので
、
、
となる
が存在します*3。
(E2)より 、
となります。
となって、
より
、
なので
となります。よって
となって矛盾。
よって となります。[証明終わり]
が整数全体の集合のとき、
を
の絶対値とすると、(E2)を満たします。よって
となります。すなわち任意の整数
は
という素数の積で表すことができます。
整数全体の集合はユークリッド整域であることから単項イデアル整域となるので、単項イデアル整域の議論からも上記の結論が成り立ちます*4。
*1:「エレファントな整数論(9) - エレファント・コンピューティング調査報告」を参照
*2:Wikipediaによると条件(1)を満たす関数が存在すれば条件(1)と(2)を満たす関数が存在します