「不等式の方法」で証明を書いていこうと思いますが、その前に必要なことを「集合と位相」に従って書いておきます。
集合と写像
、、 とします。、 を以下のように定義します。
以下のことが成り立ちます。(「集合と位相」定理5.2 を参照)
(1-1)
[証明]
[証明終わり]
(1-2)
[証明]
[証明終わり]
(1-3)
[証明]
[証明終わり]
(1-4)
[証明]
[証明終わり]
(1-5)
[証明]
[証明終わり]
(1-6)
[証明]
[証明終わり]
(1-7)
[証明]
[証明終わり]
(1-8)
[証明]
[証明終わり]
集合系と写像の関係
、 の部分集合系 、 の部分集合系 に対して以下が成り立ちます。(「集合と位相」問5.4 を参照)
(2-1)
[証明]
[証明終わり]
(2-2)
[証明]
[証明終わり]
(2-3)
[証明]
[証明終わり]
(2-4)
[証明]
[証明終わり]
上極限集合・下極限集合
集合系 に対して
- 上極限集合
- 下極限集合
を定義します。上極限集合、下極限集合について以下が成り立ちます。(「集合と位相」問5.6 を参照)
(3-1)
[証明] 任意の に対して ならば となる が存在するとします。任意の に対して とおくと なので となります。よって
[証明終わり]
(3-2) 「すべての に対して 」が成り立つとき 、
[証明] 定義より
[証明終わり]
(3-3)
[証明] とすると となる が存在します。
ならば であり、 より となります(*1)。
また、 より ならば となります(*2)。
(*1)、(*2)より となります。よって が成り立ちます。
(3-2)より が成り立つので が成り立ちます。[証明終わり]
(3-4)
[証明] ド・モルガンの法則より
が成り立ちます。(3-3)より
となります。[証明終わり]
極限集合
集合系 に対して上極限集合と下極限集合が一致するとき、これを極限集合といい で表します。極限集合について以下が成り立ちます。(「集合と位相」問5.7 を参照)
(4-1) 「(条件*)すべての に対して 」が成り立つとき
[証明] (条件*)より となるので となり、 が成り立ちます。
また (3-1)より となるので、 が成り立ちます。[証明終わり]
(4-2) 「(条件*)すべての に対して 」が成り立つとき
[証明] (条件*)より任意の に対して となるので、
(4-1)より が成り立ちます。各項の補集合をとるとド・モルガンの法則より が成り立ちます。[証明終わり]
、 がともに存在すれば以下が成り立ちます。(「集合と位相」問5.8 を参照)
(5-1)
[証明] (3-2)、(3-1)、(3-3)より
となります。、 ならば上記の式の項はすべて等しくなります。[証明終わり]
(5-2)
[証明] (3-4)、(3-1)、(3-2)より
となります。、 ならば上記の式の項はすべて等しくなります。[証明終わり]
順序関係
集合 上の二項関係 が
- 反射律: 任意の に対して
- 推移律: 任意の に対して ならば
- 反対称律: 任意の に対して かつ ならば
を満たすとき半順序と呼びます。単に順序(順序関係)という場合は半順序のことを表すとします。さらに
- 任意の に対して または
を満たすとき全順序と呼びます。
集合 の部分集合の全体を の冪集合と呼び で表します。 で決まる 上の二項関係 は順序関係となります。これを 上の包含関係と呼びます。(「集合と位相」例8.1 を参照)
同値関係
集合 上の二項関係 が
- 反射律: 任意の に対して
- 推移律: 任意の に対して ならば
- 対称律: 任意の に対して ならば
を満たすとき同値関係と呼びます。
集合 上の同値関係 が与えられたとき、 に対して の部分集合 を の同値類と呼びます。同値類全体の集合を集合 の同値関係 による商集合と呼び、 と書きます。 を に対応させる全射 を から への自然な射影と呼びます。 が同値関係であることから、同値類の全体は、集合 を互いに交わらない部分集合に分割します。
に対して、 で定義される 上の関係 は同値関係となります。 を に付随する同値関係と呼びます。 となるので、同値類 に を対応させる写像 を定義することができます。 は全単射となります。(「集合と位相」問8.3 を参照)
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