対称式の基本定理・証明2・一般の場合
今回は一般の場合について証明します。基本対称式の定義をもう一度書いておきます。
対称式の基本定理
[定理]
対称式は基本対称式の多項式となります。
[証明]
1変数の場合は、成り立っています。
として、
のときには成り立っていると仮定します。
を対称式とします。
が基本対称式の多項式となることを、
の次数に関する帰納法で証明します(帰納法(下))。 帰納法が二重になっていますので、帰納法(上)、帰納法(下)で区別することにします。
であるか、
の次数が
(すなわち
が定数)のときは、明らかに成り立っています。
の次数が
以上とします。
は
に関する対称式となります。 よって帰納法(上)の仮定(
変数の場合)より
を満たす多項式
が存在します。 ここで
は
変数の基本対称式
です。 の次数が
以上なので多項式
は
ではありません。
とおくと、
は対称式で、
となります。 因数定理より
は
で割り切れます。
は対称式であることから
は
で割り切れます。 よって、
を満たす対称式
が存在します。
の次数は、
の次数と等しく、
の次数は、
の次数より小さいか、等しいので、
または
の次数は、
の次数より小さいか、等しくなります。 よって
または
の次数は
の次数より小さくなります。
帰納法(下)の仮定によりは基本対称式の多項式となります。 よって
は基本対称式の多項式となります。
[証明終わり]