エレファント・コンピューティング調査報告

極限に関する順序を論理プログラミングの手法を使って指定することを目指すブロクです。

対称式の基本定理(5)

対称式の基本定理・証明3・3変数の場合

今回はまた別のやり方で証明してみます。例によって3変数までの場合です。基本対称式の定義をまた書いておきます。

基本対称式

 n変数の多項式

 s_{k}=\displaystyle \sum_{1 \le i_{1} < i_{2} <  \ldots  < i_{k} \le n}^{}x_{i_{1}}x_{i_{2}} \ldots x_{i_{k}}

は対称式となります( k=1,2, \ldots ,n)。これらの対称式を基本対称式といいます。 n=2のときは x_{1}+x_{2} x_{1}x_{2}が基本対称式となります。 n=3のときは x_{1}+x_{2}+x_{3} x_{1}x_{2}+x_{2}x_{3}+x_{3}x_{1} x_{1}x_{2}x_{3}が基本対称式となります。

対称式の基本定理

[定理]

対称式は基本対称式の多項式となります。これを3変数( x,y,z)の場合について証明します。この場合基本対称式は  x+y+z, xy+yz+zx, xyz となります。

[証明]

 f(x,y,z) を対称式とします。 まず、いったん  a=x+y+z b=xy+yz+zx c=xyzとおきます。 すると

 t^{3}-at^{2}+bt-c=(t-x)(t-y)(t-z)

はどのような tについても成り立つ等式となります( tを変数とする多項式として等しい)。  t=xを代入すると x^{3}-ax^{2}+bx-c=0となるので x^{3}=ax^{2}-bx+cが成り立ちます。

 t^{3}-at^{2}+bt-c
 =(t-x)(t^{2}+(x-a)t+(x^{2}-ax+b))+(x^{3}-ax^{2}+bx-c)
 =(t-x)(t^{2}+(x-a)t+(x^{2}-ax+b))

から

 t^{2}+(x-a)t+(x^{2}-ax+b)=(t-y)(t-z)

はどのような t についても成り立つ等式となります。  t=yを代入すると y^{2}+(x-a)y+(x^{2}-ax+b)=0より y^{2}=-(x-a)y-(x^{2}-ax+b) となります。

 t^{2}+(x-a)t+(x^{2}-ax+b)
 =(t-y)(t+(x+y-a))+( (x^{2}-ax+b)+(x+y-a)y)
 =(t-y)(t+(x+y-a))

から

 t+(x+y-a)=t-z

はどのような tについても成り立つ等式となります。  t=zを代入すると z+(x+y-a)=0より z=-(x+y-a)となります。  f(x,y,z)に、以上より得られた z=-(x+y-a) y^{2}=-(x-a)y-(x^{2}-ax+b) x^{3}=ax^{2}-bx+cを順に代入していくと、  xについては2次以下、 yについては1次以下、 zは無くすることができます。 これを p+qx+rx^{2}+sy+txy+ux^{2}yとおきます。  p,q,r,s,t,u a,b,c多項式となっています。 ここで p,q,r,s,t,u a=x+y+z b=xy+yz+zx c=xyzを代入して x,y,zだけの式に戻すと

 f(x,y,z)=p+qx+rx^{2}+sy+txy+ux^{2}y

が成り立っています。  p,q,r,s,t,u a,b,c多項式、すなわち対称式となっています。  f(x,y,z)=p+qx+rx^{2}+sy+txy+ux^{2}y f とおきます。  f,p,q,r,s,t,uは対称式なので、 x,y,zのすべての置換を考えると

 f=p+qx+rx^{2}+sy+txy+ux^{2}y
 f=p+qy+ry^{2}+sz+tyz+uy^{2}z
 f=p+qz+rz^{2}+sx+tzx+uz^{2}x
 f=p+qx+rx^{2}+sz+txz+ux^{2}z
 f=p+qy+ry^{2}+sx+tyx+uy^{2}x
 f=p+qz+rz^{2}+sy+tzy+uz^{2}y

が成り立ちます。 これらの等式は x,y,zを変数とする多項式として成り立っています。

 (p-f)+qx+rx^{2}+sy+txy+ux^{2}y=0
 (p-f)+qy+ry^{2}+sz+tyz+uy^{2}z=0
 (p-f)+qz+rz^{2}+sx+tzx+uz^{2}x=0
 (p-f)+qx+rx^{2}+sz+txz+ux^{2}z=0
 (p-f)+qy+ry^{2}+sx+tyx+uy^{2}x=0
 (p-f)+qz+rz^{2}+sy+tzy+uz^{2}y=0

より

 ((p-f)+qx+rx^{2})+(s+tx+ux^{2})y=0
 ((p-f)+qx+rx^{2})+(s+tx+ux^{2})z=0

となります。よって

 (s+tx+ux^{2})(y-z)=0

となります。 よって

 p+qx+rx^{2}=f s+tx+ux^{2}=0

となります。 同様に

 p+qy+ry^{2}=f s+ty+uy^{2}=0
 p+qz+rz^{2}=f s+tz+uz^{2}=0

となります。

 q(x-y)+r(x^{2}-y^{2})=0

より

 q+r(x+y)=0

となります。 同様に

 q+r(x+z)=0

となって

 r(y-z)=0

となります。 よって q=r=0 p=fとなります。 (同様に s=t=u=0となります。)  p a,b,c多項式だったので、 f(x,y,z) a,b,c多項式となります。

[証明終わり]