[定理]
対称式は基本対称式の多項式となります。
[証明]
を対称式とします。
はどのようなについても成り立つ等式となります(
を変数とする多項式として等しい)。 この式の左辺を
で割ると、
となります。を代入すると
となります。
なので 、
となります。 次に
を
で割ると、
となって、同様に 、
となります。 このように
を
で割っていくと、
、
、
となります。 ここで
、
は
に関する
次以下の式で、
だけを含むものとなっています。
より
となります。 よって
、
、…、
、
を
に順に代入していくと、
については
次以下、
については
次以下、…、
については
次以下、
については
次以下にすることができます。 よって
は各
が
であるような
の和となります。 このような
は1次独立となります。
すなわちを変数
の有理関数全体の体、
を
のすべての置換で不変となる
の元全体からなる体とすると、
は
上のベクトル空間となり、
(
)はその基底となります。 アルティンの「 ガロア理論入門」では
の
上ベクトル空間としての次元に関する議論から、上記の主張を導いています。
ここでは直接導いてみることにします。 が
次の対称群
の元のときに、
を
と書くことにします。
とおいて、
の元を
とします。 各
が
であるような
を
とします。 このとき
のときの証明で見たように
は正則行列となります。 よってを各
が
であるような
の和で書いたものは、
であるとすると、
の係数だけ残って、他の係数は
になります。
の係数は基本対称式の多項式だったので、
は基本対称式の多項式となります。
[証明終わり]