対称式の基本定理・証明3・一般の場合
では一般の場合です。
対称式の基本定理
[定理]
対称式は基本対称式の多項式となります。
[証明]
を対称式とします。
はどのようなについても成り立つ等式となります(を変数とする多項式として等しい)。 この式の左辺をで割ると、
となります。を代入すると
となります。
なので 、 となります。 次にをで割ると、
となって、同様に 、 となります。 このようにをで割っていくと、 、、 となります。 ここで 、はに関する次以下の式で、だけを含むものとなっています。 よりとなります。 よって 、 、…、 、 をに順に代入していくと、 については次以下、については次以下、…、については次以下、については次以下にすることができます。 よっては各がであるようなの和となります。 このようなは1次独立となります。
すなわちを変数の有理関数全体の体、をのすべての置換で不変となるの元全体からなる体とすると、は上のベクトル空間となり、()はその基底となります。 アルティンの「 ガロア理論入門」ではの上ベクトル空間としての次元に関する議論から、上記の主張を導いています。
ここでは直接導いてみることにします。 が次の対称群の元のときに、をと書くことにします。 とおいて、の元をとします。 各がであるようなをとします。 このときのときの証明で見たように
は正則行列となります。 よってを各がであるようなの和で書いたものは、であるとすると、の係数だけ残って、他の係数はになります。 の係数は基本対称式の多項式だったので、は基本対称式の多項式となります。
[証明終わり]