以前のブログからここのブログに移行したときに自動的に変換された記事があるのですが非常に読みにくくなっていたので書き直して掲載します。
3次方程式のべき根による解法
3次方程式 の根を
、
、
とすると
が成り立ちます。3次方程式
のべき根による解法とは、
、
、
を、
、
、
の足し算、引き算、掛け算、割り算、平方根、立方根の組み合わせだけで表すということです。複素数
を
の原始3乗根とします。(3乗して
になる複素数のうちで3乗しないと
にならないもの。
であることから
となることより
または
となります。ここで
であることから、
か
のどちらかとなります。どちらでもよいのですが、
としておきます。)
第1段階
まず、、
、
の多項式
から
、
、
のある変換
で変わらない多項式
を作ります。
を
、
、
の多項式とします。
を
、
、
となる
、
、
の多項式上の変換とすると、
となります。
とおくと(
)、
となるのでとなります。したがって
とおくと、となります(
)。
第2段階
次に、第1段階で作った 、
、
の多項式
から
、
、
のある変換
で変わらない多項式
を作ります。
を
、
、
となる
、
、
の多項式上の変換とすると、
となります。
とおくと(
)、
となるのでとなります。したがって
とおくと、となります(
)。
第3段階
次に、第2段階で作った を
、
、
の多項式として表します。
を
、
、
の対称群
とします。
は
の正規部分群となります。
となります。
、
であることから
は
のすべての変換で不変となります。
、
、
の多項式で、
、
、
を入れ替えても変わらないものを
、
、
の対称式といいます。
、
、
の対称式は
、
、
の多項式として表すことができます。
したがって は
、
、
の多項式として表すことができます。すなわち任意の
、
、
の多項式
に対して、上のように
を作ると、
は
、
、
の多項式
として表すことができます。
第4段階(第2段階を元に戻すことに対応)
を
で表すことによって
を
、
、
の加減乗除と平方根で表します。
を満たす複素数
は2つあります。その1つを
と書きます。このときもう1つは
です。
の方は、これ自体が
で不変なので、どちらか一方に決まってしまいます(これを
とします)。
の方は、異なる2つの値になる可能性があります。したがって
となります()。
これを 、
について解いて
となります。 とおきます(
)。
と
の式より
となります(
)。
第5段階(第1段階を元に戻すことに対応)
を
で表すことによって
を
、
、
の加減乗除と平方根、立方根で表します。
を満たす複素数
は3つあります。その1つを
と書きます。このとき他の2つは
、
です。
は、これ自体が
で不変なので、1つの値に決まってしまいます(これを
とします)。
と
の方は、異なる3つの値になる可能性があります。したがって
となります()。
これを 、
、
について解いて
となります()。
とおきます(
)。
と
と
の式より
となります(
)。
計算の例
とおいて計算してみます。
とすると
となります。 を、この
、
、
で表します。
を
、
、
となる変換、
を
、
、
となる変換とします。
、
とおくと
となります。、
、
が成り立っています。
となります。とおきます。また
の平方根のうちの1つを
とおきます。
となります()。したがって
が成り立ちます。を
の立方根のうちの1つとすると
となります(
)。ここで
の値を決めるために
を考えます。
、
となるので
も
、
、
で表すことができます。
となります。
とおきます。
、
とおくと(
)
となります。ここでが成り立ちます。したがって
となります。
計算の例2
、
、
の場合について計算してみます。
となります。となります。
より
となります()。
、
となります。
の1つは
となるので
となって
となります()。