エレファント・ビジュアライザー調査記録

ビジュアルプログラミングで数式の変形を表すことを考えていくブロクです。

群論の計算(10)

環、環上の多項式、体などの定義をしていきます。この定義がないと主張の意味がわからなくなるので群からは少し離れるのですが定義していきます。

集合  R R 上の2つの二項演算、加法  +: R \times R \to R と乗法  \cdot: R \times R \to R の組  (R, + , \cdot)

  •  (R, +) はアーベル群
  •  (R, \cdot) は可換なモノイド (モノイドは群の定義の中から逆元の存在を除いたもの)
  • 乗法は加法の上に分配的、すなわち
    •  x(y + z) = xy + xz \ (\forall x, y, z \in R)
    •  (x + y)z = xz + yz \ (\forall x, y, z \in R)

であるとき  (R, + , \cdot)単位元を持つ可換環と呼びます。

注意(書き方について):

  •  \cdot を省略して  x \cdot y xy のように書くことがあります。
  • 演算の順序を表すためにかっこを使うことがあります。乗法は加法に優先するとしてかっこを省略することができます。
  • 加法の単位元 0、乗法の単位元 1 と書きます。乗法の単位元を単に単位元と呼びます。
  • 加法の  x の逆元を  -x と書きます。 x + (-y) x - y と書くことがあります。

モノイドの性質( x単位元とすると  x = 1x = 1)から加法の単位元、乗法の単位元は一意的となります。

 0+0=0 より -0=0 0 = 0x - 0x = (0+0)x - 0x = 0x + 0x - 0x = 0x となります。

  R = \{ 0 \}単位元を持つ可換環の条件を満たします。これを自明な環と呼びます。ここではこの場合を除いて、 0 \ne 1 であるものとします。

単位元を持つ可換環の条件の中から、乗法の単位元の存在と乗法が可換であることを除いたものを環と呼びます。すなわち環は乗法に関して半群となっているもののことを言います。ここでは単位元を持つ可換環のことを単に環と呼ぶことにします。

以下では環とは自明ではない単位元を持つ可換環のことを指すものとします。

  • 整数全体の集合を  \mathbb{Z} と書きます。 \mathbb{Z} は加法と乗法に関して環となります。
  • 有理数全体の集合を  \mathbb{Q} と書きます。 \mathbb{Q} は加法と乗法に関して環となります。
  • 実数全体の集合を  \mathbb{R} と書きます。 \mathbb{R} は加法と乗法に関して環となります。
  • 複素数全体の集合を  \mathbb{C} と書きます。 \mathbb{C} は加法と乗法に関して環となります。

部分環

 R の部分集合  S R の加法と乗法について環になっていて  1 \in S であるとき、 S R の部分環と呼びます。

 R の部分集合  S T r \in R に対して

と定義します。

 R の部分集合  S S + S \subseteq S S^2 \subseteq S 1 \in S -1 \in S ならば  S R の部分環となります。

イデアル

 R の部分集合  S S + S \subseteq S RS \subseteq S であるとき  S Rイデアルと呼びます。

 I Rイデアルとします。 x \in R に対して  x + I x の剰余類と呼びます。剰余類全体の集合  R/I は演算

  •  (x + I) + (y + I) = (x + y) + I
  •  (x + I)(y + I) = xy + I

で環になります。 R/I を剰余環と呼びます。

準同型

 R から 環  S への写像  f: R \to S が加法、乗法、加法の単位元、乗法の単位元を保存するとき環の準同型と呼びます。すなわち

  •  f(x + y) = f(x) + f(y)
  •  f(xy) = f(x)f(y)
  •  f(0) = 0
  •  f(1) = 1

を満たすとき  f: R \to S を環の準同型と呼びます。 f(0) = 0 という条件は他の条件から  f(0) = f(0) + f(0) - f(0) = f(0 + 0) - f(0) = f(0) - f(0) = 0 と導くことができます。 f(x) + f(-x) = f(x-x) = f(0) = 0 から  f(-x) = -f(x) となります。

環の準同型  f: R \to S全単射であるとき同型と呼びます。このとき逆写像  f^{-1}: S \to R も同型となります。 R S は同型であると言います。

環の準同型  f: R \to S の像  f(R) = \{ f(x) | x \in R \}  \mathrm{Im} \ f と書きます。 \mathrm{Im} \ f S の部分環となります。 0 の逆像  f^{-1}(0) = \{ x \in R | f(x) = 0 \}  f の核と呼び  \mathrm{Ker} \ f と書きます。 \mathrm{Ker} \ f Rイデアルとなります。 R / \mathrm{Ker} \ f \mathrm{Im} \ f と同型となります。