体の代数拡大(2)
() に対して部分環 の商体を 内で考え と表します。 は の部分体となります。
のとき
となります。
を体の拡大とします。任意の が 上代数的であるとき、体拡大 は代数的であると言いいます。
を体の拡大とします。 ならば は代数的となります。
[証明] とおきます。 をとると は 上1次従属となります。よって は 上代数的となります。[証明終わり]
これを繰り返すと以下のことが成り立ちます。
とします。すべての が 上代数的であるならば環 は体となり となります。 となって体拡大 は代数的となります。
、 を体の拡大とします。 が代数的であることは、、 が代数的であることの必要十分条件となります。
[証明] 、 が代数的であるとします。 をとると が代数的であることから が存在して となります。 が代数的であるから は体となります。 は 上代数的であるから は体となって となります。 なので となり は 上代数的となります。
が代数的であるとすると は であるから は 上代数的となり は代数的となります。また が 上代数的であるならば より 上代数的であるので は代数的となります。[証明終わり]
を体とします。 が自明ではない代数拡大を持たないとき を代数的閉体と呼びます。すなわち が体の代数拡大ならば となるとき を代数的閉体と呼びます。
を体とします。次は同値となります。
- は代数的閉体である。
- が定数でないならば は 内で一次式の積に分解する。
- が定数でないならば は 内に少なくとも1つの解を持つ。
[証明] () を代数的閉体とし は定数でないとします。 は一意分解整域となるので の因子である既約多項式 が存在します。 は体で は代数的であるので となります。 となって と書けます()。 は の解となります。
() 3を仮定して は定数でないとします。 に関する帰納法により証明します。 のときは成り立っています。次数が では成り立っていると仮定します。3より の解 が存在します。 を で割った余りは となります。よって となる が存在します。帰納法の仮定より は一次式の積に分解されます。よって も一次式の積に分解されます。
() 2を仮定して を代数拡大とします。 をとると となる が存在します。2より と表すことができます(、)。 となる が存在しないとすると となります。 なのでそうなることはありません。よって が存在して となります。[証明終わり]
代数的閉体は有限体にはなりません。
[証明] を有限体とします。 とおきます。任意の に対して となります。よって は代数的閉体ではありません。[証明終わり]