エレファント・コンピューティング調査報告

極限に関する順序を論理プログラミングの手法を使って指定することを目指すブロクです。

群論の計算(30)

体と自己同型写像(4)

今のところ体上の代数の同型を使ってうまく計算が書けるポイントはまだ見つかっていないので、本の説明をたどっているだけになっています。ガロア理論は体上の代数の同型の作る群についての理論であるし代数方程式は体上の代数の話なので、書ける部分はあるとは思うのですが、ガロア理論をそのように書いているものは見つけることができませんでした。本を書く人がそのような説明ではわかりにくいと考えているからそうなっていると思われます。体上の代数の同型はベクトル空間の同型であってアーベル群の同型であるものと考えられますので、そうなっているのかもしれません。これを私が説明しようとしても難しいとは思うのですが、このブログの目的は計算が簡単になるところがあるかどうかを調べるということですので、そのような視点であればできることがあるかもしれません。ということでまたしばらく本の説明をたどっていきます。

定義 5.8 ガロア拡大

 K F の拡大体とし、  \mathbb{C} に含まれるものとします。 K に作用する  F の元を不変にする同型写像がすべて自己同型写像になるとき。「 K Fガロア拡大体である」、「 K/Fガロア拡大である」と表します。このときの自己同型群を  K F 上のガロア群といい、 \operatorname{Gal}(K/F) で表します。

定理 5.30

 L \mathbb{Q} 上の方程式  f(x) = 0 の最小分解体とします。 L の任意の元  \beta をとり、その最小多項式 g(x) とします。このとき  g(x) = 0 の解はすべて最小分解体  L に含まれます。

[証明]  f(x) = 0 の解を  \alpha_1, \alpha_2, \cdots , \alpha_n とすると  f(x) = 0 の最小分解体  L \mathbb{Q}(\alpha_1, \alpha_2, \cdots , \alpha_n) となり定理 5.26より  L = \mathbb{Q}(\alpha_1, \alpha_2, \cdots , \alpha_n) = \mathbb{Q}(\theta) となる  \theta \in L が存在します。

 \theta \mathbb{Q} 上の最小多項式  p(x) の次数を  m、その解を  \theta_1 = \theta, \theta_2, \cdots , \theta_m とし、 \sigma_1(\theta) = \theta_1 = \theta, \sigma_2(\theta) = \theta_2, \cdots , \sigma_m(\theta) = \theta_m となるように自己同型写像  \sigma_1 = e, \sigma_2, \cdots , \sigma_m と定めると、これらがガロア群の  m 個の元となっています。

ここで  \beta \mathbb{Q}(\theta) の元ですから  \theta \mathbb{Q} 上の多項式 \beta = j(\theta) と書くことができます。定理 5.6より  \sigma_i(\beta) = \sigma_i(j(\theta)) = j(\sigma_i(\theta)) = j(\theta_i) \ (1 \le i \le m) となります。

ここで  \sigma_1(\beta), \sigma_2(\beta), \cdots , \sigma_m(\beta) を解に持つ  m 次方程式  h(x) = 0 を考えます。
 h(x) = (x - \sigma_1(\beta)) (x - \sigma_2(\beta)) \cdots (x - \sigma_m(\beta))
 = (x - j(\theta_1)) (x - j(\theta_2)) \cdots (x - j(\theta_m))

 h(x) の係数は  \theta_1, \theta_2, \cdots , \theta_m に関する対称式となるので  \theta_1, \theta_2, \cdots , \theta_m の基本対称式で書くことができます。 \theta_1, \theta_2, \cdots , \theta_m の基本対称式の値は  p(x) の係数でしたから有理数になります。 h(x) \mathbb{Q} 上の多項式となります。

 \sigma_1(\beta) = e(\beta) = \beta ですから  h(x) = 0 x = \beta を解として持ち  h(x) \beta の最小多項式  g(x) で割り切れます。よって  g(x) の解は  \sigma_1(\beta) = j(\theta_1), \sigma_2(\beta) = j(\theta_2), \cdots , \sigma_m(\beta) = j(\theta_m) のうちのいくつかになります。 \theta_1, \theta_2, \cdots , \theta_m はすべて  L = \mathbb{Q}(\theta) の元ですから  j(\theta_1), j(\theta_2), \cdots , j(\theta_m) はすべて  L の元です。よって  g(x) の解はすべて  L に含まれることになります。[証明終わり]

この証明は本の通りになっているので、うまく書けないか後で検討することにします。