エレファント・ビジュアライザー調査記録

ビジュアルプログラミングで数式の変形を表すことを考えていくブロクです。

半環上のフラクタル代数(4)

環上の代数の射影極限

(Wikipediaによる)
 (I, \le) を有向半順序集合とします。環  R 上の代数の族  (A_i)_{i \in I} と準同型の族  f_{ij}: A_j → A_i \ (i \le j) f_{ii} A_i における恒等写像 f_{ik} = f_{ij} \circ f_{jk} \ (i \le j \le k) であるとき、対  ((A_i)_{i \in I}, (f_{ij})_{i \le  j \in I}) を環  R 上の代数と準同型の  I 上の射影系と呼びます。

射影系  ((A_i)_{i \in I}, (f_{ij})_{i \le  j \in I}) の射影極限を
 \displaystyle \varprojlim _{i\in I}A_{i}=\left\{(a_{i})_{i\in I}\in \prod _{i\in I}A_{i}\mid a_{i}=f_{ij}(a_{j}) \ (\forall i\leq j \in I)\right\}
と定義します。

射影極限  \displaystyle L = \varprojlim _{i\in I}A_{i} は直積の演算で環  R 上の代数になります。

射影極限  L に対して  (a_{i})_{i\in I} a_i を対応させる自然な射影(準同型)  \pi_i: L → A_i が存在して  i \le j のとき  \pi_i = f_{ij} \circ \pi_j が成り立ちます。

射影極限と自然な射影は、普遍性を満たします。すなわち、 R 上の代数  L' と任意の  i \in I に対して準同型  \pi'_i: L' → A_i が存在して  i \le j のとき  \pi'_i = f_{ij} \circ \pi'_j が成り立つならば、準同型  u: L' \to L が存在して、任意の  i \in I に対して  \pi'_i = \pi_i \circ u が成り立ちます。

可換環  R 上の形式冪級数 R[[X]] は、自然数の全体の集合  \mathbb{N} に通常の順序を入れた  (\mathbb{N},\le) で添字付けられた環の族  A_n = R[X]/X^nR[X] と自然な射影  f_{n,n+j} : R[X]/X^{n+j}R[X]\to R[X]/X^{n}R[X] からなる射影系  ((A_i)_{i \in \mathbb{N}}, (f_{ij})_{i \le  j \in \mathbb{N}}) の射影極限となります。

次の例は環上の代数ではない一般の例になります。

 A_i を長さ  i の有限数列全体からなる集合、 f_{ij} \ (i \le j) を数列を  i 項に切り詰める写像とすると、射影系  ((A_i)_{i \in \mathbb{N}}, (f_{ij})_{i \le  j \in \mathbb{N}}) その射影極限は、数列全体の集合となります。

「論理計算と随伴関手」の記事では、この方法で論理計算を有限の回数で止めたものを考えると、無限の回数の論理計算をその極限として定義しましたが、これが何か意味があるのかどうかわかっていません。今後これと環上の代数を関連付けることができるかどうか調べていきます。

 n の階乗  n! について考えてみます。 1!, 2!, 3!, \cdots という数列を考えると、これは無限の個数の階乗を表すとも考えられます。これに条件を付け加えれば何か意味を持つようになるかもしれません。そのようなことから考えていきたいと思います。