体と自己同型写像(2)
、 は体で とします。
が で と因数分解されるとします。このとき を の 上の最小分解体と言います。
の最小分解体の 上の自己同型群のことを の 上のガロア群と呼びます。最小分解体を すると と表します。
定理 5.23
、 は体で とします。 はある の 上の最小分解体とします。 の 上のガロア群を とします。 の部分群 によって不変な の元の集合 は体になります。これを の固定体といい、 で表します。
[証明] をとり とおきます。
は の自己同型なので とすると 、、、 となって 、、、 となります。よって は加法に関して の部分群になり、 は乗法に関して の部分群になるので は体となります。
よって は体となります。[証明終わり]
定理 5.24
、 は体で とします。 はある の 上の最小分解体とします。 の 上のガロア群を とします。 の中間体 のすべての元を不変にする の元の集合 は群になります。これを における の固定群といい、 で表します。
[証明] をとり とおきます。
とすると は の自己同型なので となり が成り立ちます。また が成り立つため は群となります。
よって は群となります。[証明終わり]
、 は体で とすると は 上の代数となります。 上の代数 の自己同型の全体を と書くことにします。 は写像の合成に関して群になります。
体の加法だけを考えると、 は 上のベクトル空間となります。 のベクトル空間としての自己同型の全体を と書くことにします。 は体の加法から作られる写像の加法を加法とし、写像の合成を乗法とする 上の必ずしも可換でなはい代数になり、乗法に関しては群になります。
体の乗法だけを考えると、 はアーベル群となります。 の群としての自己同型の全体を と書くことにします。 は体の乗法から作られる写像の乗法を加法とし、写像の合成を乗法とする必ずしも可換でなはい体になり、乗法に関しては群になります。