エレファント・ビジュアライザー調査記録

ビジュアルプログラミングで数式の変形を表すことを考えていくブロクです。

群論の計算(28)

体と自己同型写像(2)

 K L は体で  \mathbb{Q} \subseteq K \subseteq L とします。

 f \in K[X] L f = (X - \alpha_1)(X - \alpha_2) \cdots (X - \alpha_n)因数分解されるとします。このとき  K(\alpha_1, \alpha_2, \cdots , \alpha_n) f K 上の最小分解体と言います。

 f \in K[X] の最小分解体の  K 上の自己同型群のことを  f K 上のガロア群と呼びます。最小分解体を  K(\alpha_1, \alpha_2, \cdots , \alpha_n) すると \operatorname{Gal}(K(\alpha_1, \alpha_2, \cdots , \alpha_n) / K) と表します。

定理 5.23

 K L は体で  \mathbb{Q} \subseteq K \subseteq L とします。 L はある  f \in K[X] K 上の最小分解体とします。 f K 上のガロア群を  G とします。 G の部分群  H によって不変な  L の元の集合  M は体になります。これを  H の固定体といい、 L^H で表します。

[証明]  \sigma \in G をとり  L^\sigma = \{ x \in L \ | \ \sigma(x) = x \} とおきます。

 \sigma L の自己同型なので  x, y \in L^\sigma とすると  \sigma(x+y) = \sigma(x) + \sigma(y) = x + y \sigma(-x) = - \sigma(x) = - x \sigma(xy) = \sigma(x) \sigma(y) = xy \sigma(1/x) = 1/\sigma(x) = 1/x \ (x \ne 0) となって  x + y \in L^\sigma - x \in L^\sigma xy \in L^\sigma 1/x \in L^\sigma となります。よって  L^\sigma は加法に関して  L の部分群になり、 L^\sigma \setminus 0 は乗法に関して  L \setminus 0 の部分群になるので  L^\sigma は体となります。

よって  \displaystyle L^H = \bigcap_{\sigma \in H} L^\sigma は体となります。[証明終わり]

定理 5.24

 K L は体で  \mathbb{Q} \subseteq K \subseteq L とします。 L はある  f \in K[X] K 上の最小分解体とします。 f K 上のガロア群を  G とします。 L の中間体  M のすべての元を不変にする  G の元の集合  H は群になります。これを  G における  M の固定群といい、 G^M で表します。

[証明]  x \in L をとり  G^x = \{ \sigma \in G \ | \ \sigma(x) = x \} とおきます。

 \sigma, \tau \in G^x とすると  \sigma, \tau L の自己同型なので  \sigma ( \tau (x) ) = \sigma(x) = x となり  \sigma \circ \tau \in G^x が成り立ちます。また  \sigma^{-1} (x) = \sigma^{-1} ( \sigma(x) ) = x が成り立つため  G^x は群となります。

よって  \displaystyle G^M = \bigcap_{x \in M} G^x は群となります。[証明終わり]

 K L は体で  K \subseteq L とすると  L K 上の代数となります。 K 上の代数  L の自己同型の全体を  \operatorname{Aut}_K L と書くことにします。 \operatorname{Aut}_K L写像の合成に関して群になります。

体の加法だけを考えると、 L K 上のベクトル空間となります。 L のベクトル空間としての自己同型の全体を  \operatorname{V-Aut}_K L と書くことにします。 \operatorname{V- Aut}_K L は体の加法から作られる写像の加法を加法とし、写像の合成を乗法とする  K 上の必ずしも可換でなはい代数になり、乗法に関しては群になります。

体の乗法だけを考えると、 L^\times = L \setminus 0 はアーベル群となります。 L^\times の群としての自己同型の全体を  \operatorname{G-Aut}_K L^\times と書くことにします。 \operatorname{G- Aut}_K L^\times は体の乗法から作られる写像の乗法を加法とし、写像の合成を乗法とする必ずしも可換でなはい体になり、乗法に関しては群になります。